ECと実店舗の連携は「一歩一歩」
買い回りするユーザー拡大にも注力
実店舗とECをもつ企業やブランドにとって、避けて通れない話題といえば、「オムニチャネル」だろう。そのために不可欠な実店舗とECの「ID統合」を、イデアインターナショナルでもリニューアルを機に行った。ID統合により明らかになったデータによると、店舗とECを買い回りしている顧客も数%はいるとのこと。今後、「両方を行き来するお客様を増やしていくことはとても大事」だと小林さんは話す一方、その難しさも感じているという。
「IDが統合されても、ECと実店舗で事業部が違う場合などは、予算も事業への考えかたも違うケースが多いように思います。さらにそれぞれ業務も多岐にわたるので、いかに連携をしていくか、の優先順位を上げていくこともなかなか難しい。ですが、オンラインとオフラインの顧客情報の連携が、お客様にとって便利になるのは間違いありません。ですからまずは、店舗とECで連携してポイントアップキャンペーンを行ったり、ECと店舗を両方使っているユーザーのほうが顧客単価が高い、といったデータを見せたり、実際の数字を見せながら一歩一歩進めていくしかないと思います。我々もそういった取り組みからスタートし、およそ1年が経ちました。これから少しずつ効果が出てくると思うので、その結果を見ながら、より連携を進めていきたいですね」
リニューアル後、ECと実店舗のポイント連携も開始したことで、オンラインとオフラインの双方を利用しているユーザーの実態も少しずつ見えてきた。前述のとおり小林さんによれば、店舗とECを買い回りしている顧客も数%はいるという。今後、「両方を行き来するお客様をいかに増やしていくか」もさらなる成長のカギになりそうだ。
お祝いに贈るキッチン用品の新定番になりつつあるBRUNOだけでなく、トラベルブランド「MILESTO」の卸先も含めたブランドとしての年間売上高が昨年10億円を突破するなど、その道のりは順調そのものに見える。だが、今後について小林さんに尋ねると、「お客様が選べるサイトになっていない」と、ECの課題を指摘する。
「たとえば今だったら、『ホットプレートを買いたい』という明確な目的を持って、お客様がサイトを訪れることが圧倒的に多いと思いますがこれからは、ふらっとサイトを見て、思わず衝動買いしてしまうような仕組みを作っていかなければいけないと感じています。ホットプレートもただ売って終わり、ではなく、それを使ってもらわなければ意味がありません。どんな場面でその商品を活用できるのか。どういった時に利用するのがいちばんその商品の良さを引き出せるかなど、実際に商品を使うシーンまで含めた提案をECや店舗で行っていくことが、お客様と長い付き合いをしていくきっかけにつながるのではないかと考えています」
ライフスタイルブランドとしての地位を確立しつつあるイデアインターナショナル。ECにおける売上高の拡大が、今後も成長を続けるためのポイントになることは間違いないだろう。ただ、そのためにはECだけでなく、実店舗といかに連携を進めていくか、といった点も欠かせないピースになるはずだ。急成長を続けるイデアインターナショナルの取り組みは、実店舗をもつ多くの事業者にヒントを与えるのではないだろうか。