最後まで読まれるコンテンツにするための工夫とは?
渡辺:我々がターゲットとしている20代~30代、特に若年層は長文コンテンツを最後まで読み切れない傾向があります。しかし、ただ単に記事をコンパクトにしただけではメッセージを伝えきれません。
理想は「骨太だけど没入感があり、つい最後まで読んでしまう記事」。それを追求した結果、現在新R25が提供するコンテンツの特長になっているのは「徹底した読者目線」と「ライブ感・リアリティ」だと思っています。

MZ:具体的には、どのようなことを行っているのでしょうか。
渡辺:まず「読者目線」に関してですが、新R25の記事は、インタビュアーが取材対象に読者目線の質問をぶつけて、その質問を起点に記事が展開していくような作り方をしています。細かなこだわりですが、インタビュアーの吹き出しが左に位置しているのもその理由です。
“編集者やライターは黒子であるべき”という考えもありますが、今は作り手の存在が見えて温度感のあるメディアのほうが読者に感情移入してもらえると思っています。
MZ:「ライブ感・リアリティ」に関してはいかがでしょうか。
渡辺:新R25が目指しているのは“動画のような記事”です。それを実現するために、インタビュアーと取材対象が交互に会話をしていく吹き出し型のフォーマットをベースにしつつ、たくさんの写真を使って取材現場の臨場感や話し手のテンションが伝わるように工夫しています。また、現場の温度感を伝えるという意味では、話し手の口調や言葉使いも過度に整えたりせず、できるだけ“生っぽさ”を演出するようにもしています。

MZ:確かに吹き出し型のフォーマットは、チャットでコミュニケーションをとることが増えた現代にも合っていて、リズム感も出そうです。
渡辺:そうですね。記事のライブ感を出すために、会話のテンポや記事のリズム感はかなり意識しています。
また、もっと本質的なところで言えば、「コンテンツを予定調和にまとめない」ということも意識しています。たとえば、お金をテーマに堀江(貴文)さんに取材した記事では、堀江さんは「お金なんてどうでもいいから、好きなことをすればいい」の一点張り(笑)。ただ、想定外の展開ではあったものの、別の貴重な学びが得られた取材になりました。
このようなとき、新R25では聞き手がダメ出しされてしまうような展開も含めて、あえて読者に見せるようにしています。細かなテクニックだけでなく、こういったメディアのスタンスがリアリティの醸成につながっているのではないかと思います。