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数字にシビアに向き合い営業との連携を強化 コニカミノルタジャパンが語る、勝てるBtoBマーケティング

放置案件は一目瞭然なのに減らないのはなぜ?

 三つ目のポイントは、営業との連携だ。コニカミノルタジャパンでは、マーケティングチームがニーズを明確にし、リードを営業に渡す。そして営業が訪問した際に、見込みがまだそれほど高くないと判断した場合は再度マーケティングチームに預ける、いわば循環型の仕組みを構築していた。

マーケティングと営業とでリードが循環する仕組み
マーケティングと営業とでリードが循環する仕組み

 だが、井田氏によると、この仕組みは初めから順調に運用されていたわけではないという。当初はマーケティングチームが、行動や更新が一定期間されていない、いわゆる放置案件が自動的に蓄積される一覧レポートを設定し、その確認や管理は営業に一任。見込みが高くないリードはマーケティングチームに戻してよい旨も伝えた。だが放置案件は減るどころか、少しずつ増えていった

 「せっかく生み出したリードも無効になってしまう」と危機感を募らせたマーケティングチームは、自ら案件の進捗状況を毎週確認することに。SFAのチャット機能を活用し、営業とコミュニケーションをとり、案件をマーケティングチームに戻すのか、営業側で追い続けるか、次回のアクションは決まっているかの確認を続けるうちに、営業側が案件の進捗状況を更新し、マーケティングチームにも能動的にリードを戻すようになった。さらに、放置されやすい案件の共通点が見えてきて、営業からマーケティングに戻す基準も明確になり運用が定着。開始時には毎週1時間半ほどを要した確認作業も、今では30分程度で完了するという。

 時間短縮だけでなく、営業から預け直されたリードがインサイドセールスによって案件化につながるなど、本当に欲しかった効果も徐々に現れてきた。

目標数値にシビアに向き合うことが連携の秘訣

 営業の進捗をマーケティングが確認する際に、悩ましいのが「マーケティングはどこまで口を出していいのか」というさじ加減だろう。「放置案件を1件でも減らすため、積極的に口を出したい」という熱意と、「営業から嫌われたくない」という本音との板挟みは、マーケターを悩ませる。その傾向は、特に歴史あるBtoB企業において顕著だ。

 この企業風土の壁を乗り越えるためマーケティングチームが心掛けたのは、数字で伝えること。週次の営業会議において、マーケティングチームもパイプライン創出の進捗率を共有した

 「営業は常に『受注金額』という数字で評価されています。そこで私たちマーケティングも、受注に貢献する『パイプライン』という数字にシビアに向き合うことが必要です」と井田氏。「マーケティングもこれだけ数字に向き合い、共通のゴール達成を目指しています、だからお互いに最善を尽くしましょう、と強い連携が可能になるのです」

営業連携とPDCAの徹底は永遠のテーマ

 3つのポイントにおいてPDCAを地道に回し続けることで、昨年度は営業部全体で創出したパイプラインのうち、マーケティング施策によるものは20.4%という快挙を遂げた。これまでの試行錯誤を振り返った井田氏は、「マーケティングと営業が共通のゴールに向かって連携する仕組みを作り、数字を見ながらPDCAを回し続けることがポイント」と総括する。

 だがこの総括、「実は半年前のMarkeZine Day 2018 Autumnでお伝えしたメッセージとほぼ同じだということに気づきました」と井田氏は振り返る。

 「一つ上の段階に進んだら、また次の改善すべき点、乗り越えるべき壁が出てくる。あらためてBtoB企業のマーケティングにおいて、営業との連携とPDCAの徹底は最も重要なポイントであり、永遠のテーマなのだと再確認しました」(井田氏)

 この2大テーマに真摯に向き合い、悩みながらもコツコツと実践していくと、効果が出てきて連携を強化できる。「するとマーケティングのやりがいを感じることもできます」と、自身の体験をもとに語る井田氏。

 同じような意識で取り組むマーケターが増えていけば、マーケティングやマーケターの価値が、営業が強いBtoB企業においても認められるようになるだろう。井田氏は「事業成長のためにはマーケティングが必要不可欠だという価値観が、日本のBtoB企業でも当たり前になればと心から願っています」と述べ、講演を結んだ。

コニカミノルタジャパンでは、自社で実践したノウハウを基に、BtoB企業のマーケティング・営業プロセス改革を支援しています。詳細はぜひこちらからお問い合わせください。

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この記事の著者

田崎 亮子(タサキ リョウコ)

マーケティング&コミュニケーション領域の編集・執筆・翻訳を手掛ける。コミュニケーション領域の専門誌編集、コーポレートコミュニケーション領域の制作会社を経て、現在はフリーランス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/31604

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