ECモール内でも求められるSEO
MZ:ここまでのお話から、ECモール内における、顧客行動やインサイトを読み解いて改善を進めていることがわかります。その他にはどのような施策を行っていますか。
生井:お客様のほとんどは検索流入のため、ECモール内のSEO対策にも力を入れています。商品名や商品特徴はもちろん、テレビCMに出演するタレントの名前も、検索キーワードに登録しています。競合商品や話題性、テレビCMの情報などから、関連するキーワードやコピーを探しています。

また、商品名にもキーワードを追加します。たとえば「花王キュレルローション220ml(赤ちゃんにも使えます)」、「【まとめ買い】ピュオーラ ハミガキ クリーンミント 115g×2本セット」などのように、用途や商品入数などの情報も含めているんです。特に検索数が多い「悩みごと」系ワードは注目すべきですね。
MZ:「赤ちゃんにも使えます」というワードには、どのような意図があるのでしょうか。
生井:これも、ユーザーの検索行動を踏まえて考えています。たとえば、子育て中のママがECモール内で検索すると、関連する商品が表示されますよね。オムツや離乳食を検索したタイミングにも、商品名から「赤ちゃん向けのシャンプー」という訴求ができます。
また、ランキングに掲載されることも露出が高まる手法ですし、ときには広告出稿を行い、検索結果のファーストビューに掲載することもあります。小売りの棚取り施策に近い考え方です。花王では買い回り施策として、花王の商品をまとめて購入するとお買い得になるカテゴリー横断施策も行っています。
消費者参加型施策やEC先行販売で、購買の後押しを狙う
MZ:先ほど、ECモール内で広告も出稿することもあるとお話ししていましたが、広告ではどのような施策を行っていますか。
生井:先ほどお話ししたような検索連動型広告はもちろん、ママブロガーによる座談会の様子を記事広告として展開するといったこともしています。クイックルワイパーを取り上げたのですが、「子どもが寝たあと、静かにお掃除ができる」や「赤ちゃんを抱っこしながら、片手でお掃除しやすい」といった実際に使っている方々からの声を頂くことができました。テレビCMでは伝え切れない、お客様にあった価値を訴求できて良かったですね。
また、ビジネスパーソンに向けた「ヘルシアで健康チャレンジ」の特集も行いました。特にECの場合、メーカー視点のプッシュ型情報は、お客様に響きません。価値を伝達するためには、お客様視点の情報が必要なのです。
MZ:では、様々なECショッパーマーケティングの結果、どのような変化がありましたか。
生井:広告から販売まで一気通貫して設計することで、売上へつなげることができてきました。各担当部署間で、ECショッパーマーケティングの考え方が、浸透してきたと実感します。
MZ:広告から販売まで、一気通貫した取り組みとはどういうことでしょうか。
生井:たとえば、ECモールでの先行発売です。これは売上目的ではなく、商品が全国発売される前に話題を喚起し、発売時にはオンラインに口コミが揃っている状態を作り出す施策です。店頭購入前にオンラインの情報を参考にする、ウェブルーミングを想定しています。
また、いち早くPR情報をオンラインで知り、すぐに買いたいと思うお客様のために、店頭よりも先にECモールで商品を展開することもあります。購入の後押しとして、ECモールの活用方法を考えていますね。