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私のキャリア

攻めの広報から経営者へ 「広報脳」を武器に新規市場を切り拓く

広報は経営者の言葉を代弁する存在

――CyberZでは、eスポーツ事業の広報を担当されました。新しい市場に対し、どのようにして広報戦略を立てられたのでしょう。

 攻めの広報として最も大切にしていたことは、経営者の言葉を代弁できる存在になることです。今でこそeスポーツは大きな市場となりつつありますが、私が広報を担当し始めた頃は、知る人ぞ知る、ニッチな領域でした。そのような中、CyberZはeスポーツ大会「RAGE」を立ち上げ、市場をリードしていく決断をしたのです。私も、「eスポーツの波が必ず来る」と確信する経営者の意図を汲み取り、事業の1.5歩先の未来を歩くような広報でありたいと、強く考えました。そこでまず取り組んだことは、世の中の流れや文脈を理解することです。当時のeスポーツを取り巻く環境は、まさに大きな変化の前触れと言える状態でした。5Gを目前に控え、高画質の動画を見ることが当たり前になろうとしている。海外ではPCのオンラインゲームが流行している中で、日本は元々コンソールゲームが主流でしたが、スマートフォンゲームの普及によって、海外同様、オンライン上で戦う文化が生まれ、応援するカルチャーも生まれました。eスポーツが伸びる土壌が揃っていたのです。

 そして、もう一つ取り組んだことが圧倒的にユーザー視点になることです。これまでゲームはほとんどやらなかった私でしたが、休日や仕事終わりにゲーム好きの社員たちといろいろなゲームに触れさせてもらうことで、「なぜ流行っているのか」を考え、自らに腹落ちさせました。頭でわかっていても自分の言葉にできないもどかしさを、そこで克服していきました。eスポーツを取り巻く環境というマクロと、ユーザー視点というミクロ、この2つの視点でビジネスを理解し、自信をもってPRできたと考えています。CyberZのeスポーツの事業は、現在では大会だけでなく多数の企業と連携したリーグ戦の運営、CyberEというeスポーツに特化したマーケティング関連会社設立まで広がっています。

――攻めの広報として活躍されていた中、どのような経緯でeStreamの代表になられたのでしょうか?

 攻めの広報活動が事業部に還元されていく喜びを感じるうちに、私自身も事業サイドで成長したいと考えるようになりました。結婚を控えていたこともあり、ライフスタイルが変わる前にチャレンジしようと考え、上司に異動を直談判しました。その熱意が認められ、2018年4月に、eStreamのオンラインくじサービス「eチャンス!」の事業責任者に、10月からはeStreamの代表取締役を任されています。eStreamのビジネスは、サイバーエージェントが抱えるコンテンツのマネタイズ支援です。主な事業ドメインは、ゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」や「RAGE」で活躍するeスポーツプレーヤーのマネジメントや活動支援。そして、AbemaTVやOPENREC.tv関連のIP(知的財産)をお借りしたグッズの製作・販売を行う「eStreamStore」と、「eチャンス!」です。私は「eチャンス!」の事業責任者も兼務し、経営者として会社全体を見ています。今後も新規事業をしかけていく予定です。

成長のために退路を断つ

――代表取締役になってから、どのような変化がありましたか。

 自分が意思決定をしなければ、会社の将来に道がありません。広報時代よりも、2、3歩先を見なければならないという、求められる視点の高さと視野の広さに一番の変化があると感じています。また、単純にセールスする、タレントをマネジメントするだけでは、お客様の関心を掴むことはできません。人気の配信番組やイベントなど、世間から注目される情報や、トレンドを交えたタレントの紹介などを組み合わせ、すべてのことにストーリーを纏わせて事業展開しています。

 このように「広報脳」を活かしてビジネスができているのは、「考える・アクションする・振り返る」といったプロセスで、成功体験を重ねてきたからに他なりません。成長とは、スキルだけでなく、成功の方程式をどれだけ自分の中に蓄積させるかだと考えています。たとえば、役員の会話の内容が理解できるようになったなど、視点が上がることも成長のひとつですね。そういった小さい成長を重ねるうちにいつの間にか成功できているものです。そのようなとき、「自分は成長したな」と感じます。

――自身の一番の強みはどこだと思われますか。

 「広報脳」というところ以外でいうと、「巻き込み力」でしょうか。広報も経営者も、多くの人と関わります。大きな目標の達成のためには、自分一人では何も成し遂げられないので、いかに人を巻き込むかという点が大事になると思います。また、「鈍感力」というのもあるかなと思います(笑)。時には、目標を達成するために人を巻き込むだけでなく、あえて空気を読まずにリードしなければなりません。多少のすれ違いが起きても、堂々と周りを引っ張っていく力をもっていると思います。苦楽はありますが、達成の先には、みんなで喜びを分かち合える瞬間が待っています。やりきること、逃げないことが強みですね。今もまだ、経営経験が十分とは言えません。自信のなさから不安が生まれることもありますが、そのような時こそ、これまでの成功体験を思い出し、冷静に考え、自分の強みを信じて、弱いところは周りを頼ることができています。自分の長所は大切にしたいですね。

 あわせて、これまでのキャリアすべてにおいて、退路を断つ選択もしてきました。退路を断つとは、1つのことに全力を傾けることです。市場が伸びている分だけプレッシャーも重い、スマートフォン広告の営業になったり、eスポーツの広報に集中したりと、逃げ場を作らずに大事なことへ集中してきました。今も現場が心配になることがありますが、私がやるべきことは経営です。退路を断ち、まい進していくしかありません。

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自分の道を選択できる女性でありたい

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/09/25 14:15 https://markezine.jp/article/detail/32010

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