20代でも6割が「転職で年収アップ」
――次は「年収」についてうかがいます。調査では、20代でも6割以上のマーケターが「転職によって年収が上がった」と答えています。若くして年収アップが可能という状況なのですね。
成岡:20代の場合、事業会社から事業会社へ転職する場合、もしくは広告代理店・マーケティング支援会社から同様の会社へ転職する場合、年収がアップするケースがほとんどです。
デジタルマーケターの需要は拡大しており、大企業から中小企業やスタートアップまで深刻な人材不足にあえいでいます。各社、より高い年収を提示して、良い人材を獲得しようという傾向が強くなっていますね。
――デジタルマーケターのニーズが高まっている背景を教えてください。
成岡:以前と比べてデジタルマーケティングのツールやテクノロジーが普及し、できることが増えたのが大きな要因の一つです。マーケターに任される業務が細分化し、新しいポジションも増えています。
デジタルマーケティングの業務と言っても、大企業ではCRM担当、サービス企画担当など、より専門的な仕事に専念してもらう傾向が強くなっています。これまで一人が担っていた業務を、二つのポジション、三つのポジションに細分化し、専門的なスキルをもつスペシャリストに取り組んでもらうようになっているのです。
一方、スタートアップでは、事業をグロースさせるフェーズで、経験とスキルのあるマーケターを採用したいと考える傾向が強いです。それまで役員や他の職種のメンバーが兼務していたマーケティング業務を、「一人目のマーケター」を採用して担ってもらうことで、専門的な知見を取り入れようとしています。
――40代以降の結果を見ると、回答に少しばらつきが出ています。年齢を重ねても、転職で年収を上げていく手段はあるのでしょうか。
成岡:40代以降の転職は、20代、30代と違い、スキルと実績でシビアに評価されます。これまで大手の事業会社でキャリアを積んできた方が、規模の大きくないベンチャーやスタートアップに一人目のマーケターとしてジョインし、裁量権を発揮する仕事に就く場合、年収が大幅に上がる可能性はあるでしょう。また、英語力がある方であれば、外資系のテックジャイアントへ転職すると年収が上がりやすいですね。
別の方法として、マーケターの業務から「越境して」仕事をしてきた経験が評価されることもあります。マーケターの知見を生かして、事業作りや組織作りまで経験しているとベストです。
今はもったいない!エージェントが転職を止めるケースとは?
――ここまで、転職の回数や年収に関して、市場の動向を教えていただきました。一方で、「慎重になったほうが良い」とアドバイスされるケースもあるのでしょうか。
成岡:一つは短期離職です。近年では、1年~1年半で自分のキャリアに必要な経験を積んで次の職場へ移る方も増えているため、一概には言えないのですが、やはり特別な事情がなく1年以内で転職してしまうのは、時期尚早という場合が多いです。
また、現在の環境でもうひと踏ん張りすれば、転職市場における価値を高められる場合も、考え直してみては、とお伝えすることがあります。多いのは「現場のマーケターだけれど、マネジメントを任されてしまいそう。自分には向いていない」と転職を視野に入れるケース。マネジメント経験があれば、転職市場における価値は非常に高くなるため、より高い役職や年収を提示される可能性も高くなります。そういう場合は、今任されていることを、一度全力でやりきってみてほしいと思います。
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