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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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スシロー&ストライプと考える、アフターデジタル時代の顧客体験【チャネルを超えた最高の接客とは?】

ストレスを減らし、コミュニケーションを増やす店舗設計

MZ:次に、お話いただいた考え方をどのように個々の施策に落とし込んでいるのかうかがいたいと思います。小河さんは、お客様に「軽いリズム」で来店してもらうために、どのような工夫をしているのでしょうか。

小河:まずマイクロモーメントを捉えるという意味では、スマートフォンからGoogleのアシスタント機能を活用した音声発券(待ち組番号発券)を導入しています。誰かが「スシローでも行こか」と言い出したときに、すぐに予約ができるというのを狙っています。

 店舗で力を入れているのは、お客様のストレスを少しでも減らすこと。たとえば待ち時間対策として、待合スペースにデジタルサイネージを設置して、自分の前にあと何人待っているのかを表示するようにしました。私もお客さんとして、子どもを連れて店舗に行くのですが、やはり待たされるとイライラしたりしますので……。サイネージではお薦め商品の紹介もしているのですが、番号表示もあり。視聴率はとても高いことがわかっています。他には特にお子様向けを意識した、待ち時間にアプリ上で楽しめるようなゲームも用意しました。

待合スペースのサイネージ
待合スペースのサイネージ

小河:それからスシローには3世代で足を運んでくださるお客様も多いため、テーブルを囲んで共通の話題が生まれるような仕掛けも用意しています。最近は『えいがのおそ松さん』とコラボしたキャンペーンを行いました。美味しいというのはもちろんですが、テーブルを囲んでコミュニケーションが増える、楽しんでいただくというのも大切なことだと思っています。

佐藤:店舗スタッフさんとのコミュニケーションについては、どのように考えていますか。たとえば無人レジなどを導入し、機械化を進めることで、お客さんとスタッフとの接点が減ってしまう懸念があるとも思っているのですが……。

小河:確かに機械化によって、お客様とお話しする機会が減ってしまう側面はありますよね。しかし私たちは、必ずしも人がしなくてもよいことを機械化する代わりに、様々な企画やキャンペーンを通じて、お客様が楽しめるポイントを増やしていこうという考え方でやっています。

佐藤:ストレスは徹底的に取り除いて、楽しいところを増やしていく方針なのですね。

小河:はい。大事なタッチポイントは絶対になくさず、むしろより高い価値のあるものにしていこうと思っています。

生活導線の中で、ブランドと接する機会を作る

MZ:店舗以外でのお客様とのコミュニケーションについても、お話いただけますか。

小河:生活導線の中で、どんな時にスシローと接する機会があれば喜んでいただけるだろうか、と考えています。最近は、通勤・通学の時間に少しでも楽しい気持ちになってもらえるよう、JR山手線を世界一大きな回転レーンに見立ててお寿司を回す、電車ラッピングを企画しました。

車両にラッピングを施した「スシロートレイン」
車両にラッピングを施した「スシロートレイン」

小河:Twitterユーザーの皆さんが「#飯テロ」「朝からお寿司の口になった」など、いろいろつぶやいてくださいました。ほかには、満員電車なのでまさに「#すし詰め状態」とか(笑)。

 同時に「#山手線にスシローつくろーぜ」というハッシュタグを設定し、どの駅に出店してほしいかをつぶやいてもらう「スシロー出店場所総選挙」を行いました。こちらも熱心なファンに盛り上げていただきましたね。

MZ:店舗の外でも、楽しい時間を届けるということを強く意識されているのですね。

小河:はい。楽しんでいただこう、喜んでいただこう、スシローを“いじっていただこう”という思いで取り組んでいます。どちらも都心店舗出店強化のプロモーションとして行ったものでしたが、私たちが想定していた以上のコミュニケーションが生まれていました。

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店舗を最初の接点にして、ECで価値を上乗せする

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/14 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32523

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