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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

1車種×複数セグメントで最適解を探る 日産流・購買までの長き道のりを統合する方法

各施策でなく全体で評価する

――ここまで、御社における統合マーケティングの一連の流れをうかがいましたが、どのようにして結果を評価していますか。

 今年から、行った施策全体を振り返るようにしています。これまでは各施策で評価していたのですが、全体のまとまりとして計測できるようになったので、非常に良くなったと思います。

 もちろん、全体で評価してもどの辺が悪いのかが明確になるわけではないのですが、課題になっていそうな部分は見えるようになりました。改善に向けたアクションが取りやすくなりました。

――具体的には、どのようにして全体を評価しているんですか。

 すべての車種で共通したフォーマットを用いて評価するようにしています。先ほどお伝えしたKPIである検討候補率とWebの能動流入、加えてディーラーへの来店も見ています。これを認知から獲得までのフルファネルで取り組んだ施策の結果との相関を見て、評価しています。

 統合マーケティングを行っているはずなのに、テレビCMとデジタル広告の担当者がそれぞれ担当領域だけをレビューして個別最適化していてはいけないと思っています。全体としてどうなっているのかを関係者でレビューする機会を設けています。

――最近では、テレビCMをそのままデジタル広告に活用するのではなく、各プラットフォームやメディアに最適化した形にするような取り組みも進んでいると思いますが、御社ではいかがでしょうか。

 我々は、デジタルへの投資を早い段階から拡大してきました。割合は申し上げられませんが、広告投資のうちデジタルの占める比率は比較的高いと思います。とはいえ、テレビの影響というものも、大きい。「若い人はテレビを見なくなっているから投資しない」と切り捨てられるものでは全然ないと思っています。

 そして、マスとデジタルでクリエイティブを作り変えることを意識しています。デジタルはプラットフォーマーごとに配信できる画面サイズなども異なるので、各プラットフォームの方に協力いただきながら、最適解を探しています。

 たとえば、FacebookとInstagramの場合、私が入社する前の2017年はクリエイティブのモバイル最適化率は、十数%だったんです。でも、2018年で7割まで引き上げました。2019年時点ではもっと高くなっているのではないかと思います。これによって、非常に離脱率も下がったので、各メディアに合わせたクリエイティブの最適化はこれからも模索したいと思っています。

統合マーケティングに重要なのは見える化

――御社のように、統合マーケティングをきちんと実行できるようになるには、どうすれば良いのでしょうか。

 我々もまだ道半ばだと思っていますが、1つ言えるのは、他社がやっているからと、そのまま真似しようとするのはナンセンスです。各社で抱えている課題も、持っている予算も違います。我々も各タッチポイントでコミュニケーションを取っていく中で、無駄や機会損失になっている部分が見えてきて統合マーケティングを重視するようになりました。

 統合マーケティングに取り組めていなくても焦りを感じる必要はなくて、各ビジネスのあり方でその重要性も変わってきますので。統合マーケティングはマーケティング投資の一手段でしかないと思うべきかなと思います。

 そして、統合マーケティングが必要だとわかって進めているのに、上手くいかない企業の方がいるのであれば、見える化が十分でない可能性があります。我々はデータを購入し、自社データも蓄積して注力することができていますが、そこに投資できていない企業もあると思います。ただ、顧客の見える化を進めないと、統合マーケティングの精度は上がらないので、そこの重要度を上げて予算を用意することが必要ではないでしょうか。

――では、最後に今後の展望を教えてください。

 先ほど見える化が重要とお話ししましたが、我々もまだまだなところなので、そこに力を入れていきたいです。そして、日産ブランドはまだまだ強くできると思うので、より刺さるコミュニケーションの開発とメディアのタッチポイント戦略をアグレッシブに取り組みたいです。特にデジタル領域に関しては、新たなものにどんどんチャレンジして、効果を生んでいきたいと思っています。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:42 https://markezine.jp/article/detail/32617

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