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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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定期誌『MarkeZine』特集

ベネフィット第一×KPIの全媒体統一がカギ スマートニュースが統合マーケティングに成功した理由

重要なのは、全媒体のKPIを統一すること

――では、実際に統合マーケティングを始めて以降、成果を上げるためにどのようにPDCAを回してきたのでしょうか。

 一言で言うと、結果指標をCPI(Cost Per Install)で統一してひたすらに効果検証・改善を繰り返しました。

――テレビCMもCPIで換算しているのですか。

 はい。スタートアップ企業がテレビCM投資できない理由として「CPI/CPAが見合わないから」という点があると思います。デジタル広告はターゲティング精度が優れていますが「ニュースアプリに関心がある人」だけを見て配信すると、縮小最適が起こります。

 本来取るべき認知は、ニュースアプリに興味を持っていない、知らない人に届くことです。そのような認知を取りながら、目標CPIも合わせていくことに矛盾を感じる方もいると思いますが、両者は両立できるし投資として効果検証できると考えています。

――確かに、認知を目的にしたブランディング広告の場合、ブランドリフトや認知率などの指標をKPIとするケースがあると思いますが、そうではなくどんな施策もCPI/CPA換算すべきということですね。

 マス広告で上げた認知で、デジタル広告の効率が改善していく間接効果はもちろんあります。しかし、マス広告はCPIを追わなくて良いなんて言い訳だと思うし、共通のKPIがあった方が建設的な議論ができます。

全媒体共通指標にすることで異常を察知

――デジタルに比べるとマスのほうが少し高いなど、各媒体で目標CPIを変えていたりするんでしょうか。

 一般的にはデジタル広告のほうがCPIは低いですが、マス広告のほうが効率が良くなるケースもあります。なによりプロダクトの強さを信じているので、CPIが悪い時はメディアのせいにせず、スマートニュースの持つ正しい魅力を伝えられなかったんだと反省します。

――ちなみに、テレビCMの場合はどのようにCPIを測っているんですか。

 テレビCMの放映から15分以内のダウンロード増加数を、テレビCMの効果としています。そして全エリア、全スポットにおける出稿データと、ダウンロードに関する行動データを紐付けて検証します。

 そしてここで気をつけたいのはCPIが低い=正解ではないということです。

――それはどういうことでしょうか。

 一例を挙げると、テレビCM放映後の検索連動型広告のCPIが一気に改善した時期がありました。クリエイティブは変更していないので外部要因を調べていくと、スマートスピーカーのテレビCMによる影響でした。複数社が出稿したことで「スマートスピーカー」の検索が伸びて、検索連動型広告でスマートニュースを知っていただけたようです。

 CPIは低いですが、ベネフィットが伝わっていないダウンロードなので継続率は悪化します。そのため、関連した検索クエリは停止しました。

――CPIを指標としながら、様々なデータを見てなぜ良かったのか、悪かったのか検証していたんですね。

 出稿しているすべての媒体・広告枠における特徴を言語化して同じ指標で比較することが、統合マーケティングをする上では一番重要だと思うんです。メディアごとに得意なことや不得意なことも違います。テレビCM枠の中にも、直接ダウンロードが多いもの、デジタル広告との連動性が高いものなど様々です。

 デジタル部門でCPIを下げることだけを意識していると、先ほどの例も良しとされてしまいますが、全媒体を同じ指標で比較すれば異常にも気づいて議論することができます。

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ベネフィットを様々な粒度で整理する

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:42 https://markezine.jp/article/detail/32646

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