「Datorama」を導入し、ステークホルダー全員でデータを共有
そこでダイキン工業が2019年2月に導入を決めたのが「Datorama(デートラマ)」だ。導入する際に重視したのは、データ分析のプロフェッショナルである広告代理店をしっかり巻き込むということだ。
「私のグループでは、多岐にわたるコミュニケーションについて、餅は餅屋というように、プロの方の知見を最大限発揮して頂くことが大事という考えが大前提としてありました。目的や中身については事前に綿密に打ち合わせますが、方針を伝えたらダッシュボードの作成についてはプロにお任せする。私たちは出来上がったダッシュボードを見て、目的が達成できているか、見たい指標が見ることができるかを確認します。押さえるべきものと、お任せするものを明快に切り分けているのがポイントです」(土井氏)
広告主だけでは問題解決できない時、土井氏は外部パートナーを積極的に巻き込むことが大事だと考えているが、その時パートナー企業に「自分ごと」だと捉えてもらうために心がけていることがあるという。
“メリット”を伝えることでパートナー企業を前向きに巻き込む
「パートナー企業さんに協力を仰ぐ際には、自社のメリットだけでなく、パートナーの皆さんにも大きなメリットがあることを伝えるようにしています。今回の場合では、Datoramaを活用してデータ分析する知見が得られれば、それをモデルケースとして他の広告主にも横展開できることをお伝えして協力をお願いしました」(土井氏)
実際、ダイキン工業のパートナーである広告代理店では、これまでYouTube、Facebook、Instagram、Twitterといった複数媒体のレポートをそれぞれの管理画面から抽出し、丸1日がかりで一つのレポートにまとめていた。そしてその後、社内にいる各媒体のスペシャリストにデータを分析してもらい、次の提案内容を考えるというプロセスを取るのにさらに2、3日かかっていたという。
この作業が、ターゲティング別、クリエイティブ別で発生していたため、膨大な時間と手間がかかってしまい、キャンペーンの振り返りをタイムリーに行うことができなかったのだそうだ。
Datoramaの導入で大きく変わったのは、こうした複数媒体のデータの抽出・統合作業が自動化できるようになったことだ。手間と時間を大幅に削減でき、人的なミスも減ったという。Datoramaなら一つのダッシュボードであらゆる媒体のデータ管理ができ、クリック一つで統合されたデータを出力できる。広告代理店にとっては、そこで削減できた時間を、提案内容のブラッシュアップに充てられるようになるだろう。
ダイキン工業では他にも『東洋経済オンライン』に特設サイトを設け、記事広告を出稿しているが、この効果測定レポートについても従来は月に1回、本社のある大阪から東京まで出張して編集会議に参加していた。しかしDatoramaの導入によって、特設サイトのレポートもダッシュボード上でリアルタイムに見られるようになったため、導線を強化するなどの施策を即座に打つことができ、閲覧数の増加につながった。編集部とのやり取りが格段にスムーズになり、お互いにとってメリットのある結果となった。