確実案件とチャレンジ案件に分け、半期で50のイベントに出展
栗原:第一弾に引き続き、 SmartHRさんのマーケティングの取り組みについて聞いていきたいと思います。イベントでのリード獲得を非常に上手にやられているなという印象を持っているのですが、どういったイベントに出展されてきたのか、その効果についてもお話しいただけますか。
SmartHR 執行役員 Vice President of Marketing 岡本剛典さん
2009年GMOクリック証券株式会社に入社。プロダクトマーケティング職を経て、マーケティング責任者に着任。2018年10月よりマーケティング責任者としてSmartHRに参画。これまでに約100億円を投下し、デジタルからマスマーケティングまでを統合したマーケティング・ブランディング戦略の策定・実行をし、事業成長に貢献。
対談の第一弾「ハンコを押すため…の交通広告で指名検索が2倍に!SmartHR岡本さんに才流栗原さんが訊く【第一弾】」はこちらから!
岡本:イベントについては、従来はよく展示会やカンファレンスに出展していました。現在はコロナの影響で難しいので、オンラインに切り替えています。
ビジネス的なインパクトで言うと、SmartHRはインサイドセールスに渡すリード数、MQLが毎月2,000から3,000件くらいありまして、その半分ほどをイベント系の施策で獲得しています。
栗原:毎月1,000件をイベントで獲得しているとすると、可能性のありそうな展示会には全部出るような意思決定になりますよね。
岡本:そうですね。去年の下期後半だけで40から50件ほど出展していました。北は北海道から南は沖縄まで、全国出ています。
栗原:それってすごく気になります。普通、「このイベントに出たいです」と担当者から稟議が上がってきたときに「ターゲットは本当に来るの?」「何人くらい集まるの?」「意思決定者は来るの?」みたいな難しさがあるかなと思うのですが、GOサインを出す判断は?
岡本:「これは確実に成果が出る」という案件と、「チャレンジ案件」とを分けています。確実なものは事前に「イベントに何人来るのか、そこからブースに何名誘導するのか、確度の高い、MQLになるリードは何%発生しそうなのか」をシミュレーションしてもらった上で効率を勘案し、「それならやろう」と決定する。
チャレンジ案件は「この企画、過去にやったこともないし情報も少ないのでわからない。でも、もしかしたらハマるかもしれない」というもの。担当者がやりたいということであれば、予算も踏まえつつ、「それならやってみよう」と。今後も続けるかどうかは、後から数字を見て決めることにしています。
複雑なプロダクトこそ、リアルな場でリードタイムを縮められる
栗原:施策をもっとデジタルに寄せるという選択肢もあると思うのですが、イベント、特にリアルのイベントを重視されてきた理由について、教えていただけますか。
岡本:コミュニケーションの質がだいぶ違うのかなと思ってます。オフラインでは、ターゲットになるユーザーさんとSmartHRのメンバーが直接コミュニケーションをとれる。
BtoBのプロダクトって、提供価値が複雑でわかりにくかったりするのですが、イベントではそれを一気に一つの場所で、数分のコミュニケーションで解決できます。すると後ろの転換率に良い影響が出る。商談までの確率が非常に高くなってくるのです。BtoCでも、説明コストがかかるようなサービスだと、オフラインはアリなのかなと思います。
栗原:なるほど。もしかしたらリードタイムも短くなるみたいな、そんなイメージですかね。
岡本:はい。イベントのリードが入ってくると、インサイドセールスのメンバーの目がすごくキラキラしている(笑)。
検索して積極的に調べて探してたら違うと思うのですが、成果報酬型の広告で入ってくるとか、入口によってはプロダクトの理解度が低かったりして、なかなか商談まで持っていくのが難しいところがあったりします。