広告効果の可視化はデータ環境を整えることから
――売上に対する広告効果の見えづらさは、BtoB業界の恒常的な課題でもありますね。ではBtoB企業においてリード単価目標を正しく設定するには、どのような取り組みが必要ですか。
根口:マーケティングアクティビティ全体で創出する売上目標や、パイプライン上の転換率などから逆算して、「広告でどのくらいの商談数や商談金額を作るべきか」を考えることが必要です。
一般的なデマンドジェネレーションの場合、はじめにマーケティングチームがMQL(Marketing Qualified Lead)を作り出します。MQLの定義は企業によって異なりますが、リードの属性や行動履歴などでスコアリングしていくことが一般的です。
根口:商談金額が判明するのは、インサイドセールスがフィールドセールスへMQLをパスした後、SQL(Sales Qualified Lead)となったタイミングです。これらのプロセスをデータでつないで可視化し、リードから成約までの各プロセスの転換率から、何件リードを獲得する必要があるのかをロジカルに考えて、リード単価目標を設定していくことが理想的です。
――つまり、マーケティングからインサイドセールス、フィールドセールスを一貫してつなぐデータが必要なのですね。
笹井:はい。BtoB企業においては、成約までのプロセスに複数のチームが関わるため、データが途切れてしまい、成約に至った施策の評価ができない場合が多いです。そこで、元々Webマーケティングの分析に強いアドエビスが持つデータをSalesforceへつなぎ、マーケティングからセールスへ一貫したデータを提供するソリューションをご提案しています。
マーケ×セールスのデータ連携で、効いた施策が見えてきた
――アドエビスのデータをSalesforceへつなぐと、どのようなことがわかるのでしょうか。
笹井:アドエビスで計測したデータをSalesforceへ取り込むと、マーケティングチームとセールスチームがそれぞれ管理していたデータがつながり、どの施策がMQL/SQLを創出していたのかやリードの獲得経路も可視化されます。シンプルですが、これができず社内で「その広告費をかけていくら売り上げたの?」と最終的な売上だけに焦点が当てられてしまったり、「リードの質が悪いのでは?」など感覚的なやり取りが行われてしまう場合も多いのではないでしょうか。
――運用をはじめて、どのような成果が出ていますか。
根口:私たち3社の取り組みは2年ほど続いていますが、狙い通り広告費用に対してMQL/SQLの件数が何件創出できたのか、アトリビューションを加味した上でどの広告から商談金額がどのくらい生まれているのか、といったことが見えてきました。
伊藤:当社のケースでは、実際に広告費用に対して10倍の商談金額を作り出せていたことが確認できました。単純な商談金額の可視化だけではなく、各プロセスを可視化できたことが一番の成果だと思います。
これまではラストクリックしか追えていませんでしたが、はじめのタッチポイントがカテゴリーワードだったとわかったことも大きかったですね。また、肌感覚で長いと感じていたリードタイムでしたが、最初の広告クリックから実際のお問い合わせまで1年以上かかっていることがデータとして実証されています。
笹井:今回ユニリタ様で広告ごとのアポ単価、商談創出金額、リードタイムなどの有益な気付きを得られましたが、これらは他の企業様でも「計測してみて始めてわかった」というケースが非常に多いです。実は弊社のWebマーケティングも今回のソリューションを使い、とある施策のCPAが90%改善されるなどの結果が出ています。