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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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定期誌『MarkeZine』特集

何度も買いたくなる商品・サービスに必要なこと

 思わず手に取ってしまう、リピート購入してしまう商品には、どのような要素が存在しているのだろうか。本稿では、博報堂内の社内プロジェクト「ヒット習慣メーカーズ」のリーダーであり、2020年4月25日に『カイタイ新書—何度も「買いたい」仕組みのつくり方—』(秀和システム)を刊行した中川悠氏に、何度も買いたくなる商品・サービス作りの秘訣を解説してもらった。

※本記事は、2020年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』54号に掲載したものです。

マーケティングは誤解されている

 「マーケティングの理想は、セールスを不要にすることである」

 経営学者のピーター・ドラッカー氏は、著書『マネジメント』(ダイヤモンド社)の中でそう語っています。営業がセールストークをしなくても、商品が自然と売れてしまう状態を作るための方法論がマーケティングというものです。売上を上げるために寝る間を惜しんで働くのではなく、働かなくてもちゃんと持続的に売上が上がり続ける「仕組み」作りがマーケティングなのです。

 でも、いつの間にか、マーケティングは、短期的な売上を追い求める活動になってしまいました。もちろん短期的な売上は必要なことです。しかし、売上が上がり続ける「仕組み」のない状態で、単発的な仕掛けを打ったとしても、それが終わると売上は下がっていきます。そして、また次の単発的な仕掛けを行う。その繰り返しでは、いつまでたっても仕事は楽になりません。

 つまり、マーケティングとは、単発的に売れる「仕掛け」ではなく、持続的に売れ続ける「仕組み」を作ることであり、「売るための努力をしない努力」なのです。だから、マーケティングが上手くいけば、究極的には働かなくて済むはずです。

 かつては、人口が右肩上がりの成長社会だったので、商品を出せばある程度売れた時代でした。だから、生活者に商品を知ってもらい、一度だけ「買いたい」と思ってもらえば、それでビジネスが成り立ったのです。しかし、人口が右肩下がりの成熟社会に突入し、一度だけ「買いたい」と思わせることに、あまり意味がなくなってしまいました。だから、広告やクーポンで一度だけ使ってもらったとしても、そのあと続かないケースが増えたのです。

出典:『カイタイ新書―何度も「買いたい」仕組みのつくり方―』博報堂ヒット習慣メーカーズ 著、中川悠 編著、秀和システム、2020年4月(タップで画像拡大)
出典:『カイタイ新書―何度も「買いたい」仕組みのつくり方―
博報堂ヒット習慣メーカーズ 著、中川悠 編著、秀和システム、2020年4月
(タップで画像拡大)

 何度も買いたい「仕組み」を分析していくうちに私たちがたどり着いたのは、生活者の「習慣化」です。今、「習慣本」と呼ばれる書籍の刊行が相次いでいます。生活者は、商品ではなく習慣を欲しています。だから、企業は、「新しい商品ではなく新しい習慣を作る」という考えを持ったほうがいいのです。つまり、これからは、企業が商品を作って、それを広告で世の中に伝えるだけでなく、その商品を使った「新しい習慣」をいかに世の中に提案するか? が、今まで以上に大事な時代になります。歯磨きをする習慣、毎日シャンプーをする習慣、ビールで乾杯をする習慣、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣など、商品を使った習慣が根付けば、その商品は長く買い続けてもらうことができます。一時的に買われる商品ではなく、持続的に買われる商品を生み出したいと考えるなら、「習慣化」こそ最も重要なキーワードなのです。新しい習慣は今までも生み出されてきましたが、不思議なことにその方法論については、ほとんど議論されませんでした。

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この記事の著者

中川 悠(なかがわ ゆう)

株式会社博報堂 統合プラニング局中川チーム チームリーダー/ヒット習慣メーカーズリーダー
大学卒業後、電機メーカーにエンジニアとして入社。携帯電話の設計に携わる。その後広告会社を経て、2008年に博報堂入社。ストラテジックプラニング職として、商品開発、ブランド戦略、コミュニケーション立案に携わる。2015年に統合プラニング局のチームリーダーに就任。クリエイティブ・ストラテジストとして、戦略から戦術まで一貫したディレクションを行う。2017年にヒット習慣メーカーズ※を立ち上げ、顧客の習慣化による事業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:44 https://markezine.jp/article/detail/33655

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