アンケート自動化でコスト削減、最適なデータ管理へ
個別の最適化のポイントは、「コンテンツの最適化」「データ活用の最適化」「顧客情報の最適化」だ。
WebサイトやSNSなどのチャネルそれぞれでアプローチできるターゲットは異なるため、コンテンツごとにKPIを設定して目的を明確にする必要がある。今後は、各チャネルそれぞれに対して個々のKPI達成によるコンテンツの最適化を目指す。
また最適なデータ活用を行うために、収集したデータをデジタル化し、活用できる形式で蓄積する。大江氏は「データ収集で留意するべきは『集めたデータを何に使うのか』を明確にすること」と述べ、手段と目的を切り分ける重要性を強調した。さらに、顧客情報の最適化では、データを基にパーソナライズされたコミュニケーションができるよう「必要な人に」「必要な情報を」「適切なタイミングで届ける」の3点の精度を今後どこまで高められるかがポイントとなる。
ここで冨田氏がこれまでの具体的な取り組みを尋ねると、大江氏は成約後のアンケートの自動化とその活用について説明した。Marketo Engageの導入以前は3名の専任のスタッフが、月初は残業をしながら作業にあたっており、アンケートの郵送により運用コストも高かったが、導入後はアンケート配信と回答者データのリスト作成を自動化することで、作業時間が大きく短縮され、1名少ない2名のスタッフにもかかわらず残業もなくなり、コストも80%のカットに成功した。
また、Marketo Engageに蓄積しリスト化された回答者のデータをBIツールと連携し、成形・可視化することで、現状把握やレポート作成もスムーズになった。回答者リストを上書きするだけで最新の状態となるため、レポート作成にもほとんど時間がかからないと言う。
他企業とのコラボも積極的に取り組む
一方、「連携での最大化」では「コンテンツ間の連携」「グループ間の連携」「他企業との連携」がポイントとなる。
コンテンツ間の連携では、IDやパスワードの共通化や連動企画、キャンペーンなどでコンテンツ間のユーザー遷移をいかにシームレスに行えるかがポイントとなる。たとえば現在、コラムとTwitterとメルマガを1つのコンテンツでつなぎ、ユーザーの遷移を促す取り組みなどを行っている。また今後は、LINE公式アカウントの機能を充実させ、同アカウントから会員登録が可能となっているサイトとの連携を強化させつつ、LINEの友だち獲得施策をTwitterとの連動企画で実施していくことも検討している。
グループ間の連携では、同社グループ(FUKUYAグループ)全体の窓口として顧客とコミュニケーションをし、不動産売買の仲介だけでなくリフォーム・リノベーションなどといったニーズにも対応できる体制を整えた。大江氏は「部門を横断的に連動・連携させていくことで、グループの様々なサービスを、顧客ニーズに合わせて提案・提供することができます」と説明する。
さらに注力しているのが、他企業との連携だ。不動産会社だけでは提供できない「顧客メリットの創出」を、他業種の企業と連携して提供する。
現在、同社では単発企画としてSNSやメルマガなどで食品メーカーやアウトドアメーカーなどとのコラボキャンペーンを実施しているほか、2020年からは一年を通して殺虫剤メーカーと協力し、コラムやメルマガなどでの情報発信や該当商品のプレゼントキャンペーンの実施を行っている。今後はさらに様々な企業と様々な形式でのコラボレーションができるよう、環境を整えていくとのことだ。
最後に大江氏は、「個別の最適化により、ユーザーとの最適な距離感を追求し、連携での最大化によりユーザーメリットの最大化を追求します。この二本柱を実現することで課題解決を目指しています」と総括し、講演を締めくくった。
ユーザーの声を基に考えるデジタルマーケティング進化論
アドビは2020年6月に、新たなホワイトペーパーを公開しました。顧客との関係を構築し、収益を向上させていく上で必要不可欠な「収益プロセス」の考え方とともに、デジタルマーケティングの成熟度を高めるための戦略や施策を紹介しています。本セッションにも登場した「Marketo Engage」がマーケティングチームにもたらすメリットも解説。ダウンロードはコチラから。