顧客コミュニケーションで意識したい、5つの視点
(三井住友カード)
COVID-19があるからといって本質は変わりません。ただ、より顧客に寄り添ったコミュニケーションが必須になりました。「攻略」でも「最適化」でもありません。我々企業は今顧客に必要な、生活を豊かにするサービス・コンテンツを欲しいタイミングで提供することが重要なのです。私は2ヵ月ほどで20件以上のウェビナーを受講し、その内容をnoteにまとめたので是非ご覧いただきたいのですが、共通して以下の5つがテーマとしてあると感じました。
1.寄り添う。攻略ではない【考え方】
「企業のメッセージを伝える」というスタンスから「徹底的に顧客の気持ちになり顧客が欲しい情報を欲しいタイミングで伝える」という思考のチェンジが必要。
2.本物であるために、社会や顧客のためのことを実践せよ。そして正直であれ【スタンス】
ブランドとして社会や顧客のために何ができるのかを徹底的に考え、それを具現化していく。プロセスを見せ、ブランドや商品の理念や想いを具体的な実績として見せないと、その先にいる消費者には響かない。
3.ブランドパーパスと顧客の悩みや想いを同期させる【伝え方】
顧客の悩みや想いと企業提供価値の同期をする。ターゲットの文脈に合わせてコミュニケーションの仕方を変える、同期(シンクロ)させる。
4.絆を深めるコミュニケーションを。出会いや縁をKPIにしよう【コミュニケーション】
出会いや繋がりをKPIに。SNSのフォロワー数や表示数は別に何も生まない。今だからこそ、正直に、背景情報までしっかり伝えて絆を深めるコミュニケーションに力を注ぐべき。
5.時代の変化スピードに合わせて決断と実践もスピーディーに【タイミング】
先のことを考えずに瞬間瞬間に決めることが必要。物事が起こったら即座に決められる体制だけは作っておく。Rightnow、つまり顧客が困っているときにタイミングよく届けていくことが必要。
この5つに沿って事業戦略を組み立て、サービス・商品・コンテンツを提供していく必要があります。冒頭にも書いたとおり、企業が社会や顧客のためにやることはCOVID-19で変わるものではなく、常に一貫していないといけません。しかし、ソーシャルイシューに沿っていない、企業の社会的理念表明がされていないのであればこのタイミングで練り直すことが必要です。一企業として、一マーケターとして社会や顧客のために何ができるのか改めて考え、その理念・信念に基づいた施策の実施が必要です。ぜひ、こちらの内容がまとまっているnote・日々情報発信しているSNSもご覧ください。

三井住友カード株式会社 マーケティング統括部
部長代理 福田保範氏
note:https://note.com/fkd89
Twitter:@fkd89
スピーディーな方向転換で危機をチャンスに(ヤプリ)
私が所属するオフラインマーケティング部では、これまで展示会やセミナー協賛、自社で企画するセミナーやカンファレンス等で、マーケティング全体の指標であるリード目標の50〜60%を創出していました。コロナの影響をダイレクトに受け、2020年に計画していたプランはほぼ白紙に近い状態となっています。
最初に変化を迫られたのは3月頭に開催が予定されていた展示会の中止です。年間を通したマーケティング施策の中でも特に力を入れており、ブース内でのセミナー企画の準備も進んでいました。中止の連絡を受け、この期間に会場で情報収集をしようとしていた方々の時間とニーズがあるはず、と思ったのですぐに同期間でセミナーのオンライン開催を決めました。準備期間は2週間弱。元々展示会で目標としていたリード数からは大きくマイナス着地となりましたが、メディアにも取り上げられるなど、多くの副次的な成果を得ることができました。これまでオフラインで開催していた自社セミナーと比べ、開催までの工数と参加側のハードルがかなり低いことを早いタイミングで実感しました。
次に私たちがチャレンジしたのは、“ウェビナーを毎週開催する”ことです。コロナ前に、もっとたくさんの切り口の自社セミナーを開催したいと思っていたので、チャンスだと思いました。コンテンツ企画、LPの制作、集客、当日の運営、アンケート、記事化、インサイドへパスするまでを、高速で回すチーム作りが必要となりました。結果、3ヵ月で34回の開催。何もしなければほぼ0だったコロナ期間中、前年比8割のリードを作り出すことができました。スピーディーに方向転換ができたのは、機動力の高いチームメンバーが揃っていたこと、ヤプリのバリューにチームドリブンを掲げていること、目標管理としてOKRを導入していたことがポイントだったと思います。

当初の計画が崩れてしまったとき、目先の数字にこだわりすぎず、紐付いている目標に広く貢献できるであろう代替案を考えたほうが健全で、アイデアも広がります。オフラインチームの成果は、リードの数だけではありませんでした。オフラインでの接点が制限される中、オンライン上で存在感をアピールすることができ、ナーチャリングからの商談、商談からの受注にも寄与しています。そして、34回分のセミナーから得られたレポートは、本来1年かかっても集められなかったであろうデータです。次のチャレンジにつなげていきたいと思っています。

株式会社ヤプリ マーケティング本部
PR&オフラインマーケティング部 部長 原田千亜紀氏