「みんな」が使えないと意味がない。オープン化にこだわる
――具体的にはどのような取り組みをしているのでしょうか。
比留間:重要視してきたのは「オープン化」です。データから何を読み解くかは個人に依存する部分が大きいため、専門知識をもった一部の社員だけが分析できれば良いのではなく、プロダクトやお客様に向き合っている一人ひとりが、データに触れ、解釈できるような環境づくりを進めています。まさに「使うため」の開発ですね。
瀬川:比留間さんが「みんなが使えないとだめだ」ということを、繰り返し話されていたのが印象的でした。それを目指したくても諦めてしまっているケースも多いと思います。本気で全社でデータ活用できるよう取り組んでいるのは、ライオンさんの特長であり、すごいところだと思います。
比留間:汎用化されたデータで可能な限り柔軟な分析ができるよう進めている一方で、社内からは、たとえば「洗濯用の粉末洗剤を使っている人が、液体洗剤にスイッチするきっかけを突き止めたい」のような、高度な分析のオーダーがくることもあります。そのような場合についても、マクロミルさんに要件定義から入ってもらっています。
データ活用の壁を乗り越えてきた経験が、支援に活きている
――取り組みを開始してから約半年とのことですが、日々の業務はどのように進めているのでしょうか。
瀬川:週次でプロジェクトごとに分科会をして、進捗の報告や議論をしながら進めています。新型コロナウィルスの影響によって在宅ワークになったときはどうなることかと思いましたが、オンライン会議なども活用してスムーズに連携させてもらっています。
比留間:こちらが考えていることをきちんと理解いただいているからこそ、コミュニケーション齟齬が少なくストレスがなく進められているのでしょうね。戦略立案に強いだけでなく、実務にも強く、そのバランスが良いので、展開スピードを上げられていると考えています。
瀬川:これまでに多数データに関する案件を扱ってきた経験や、社内でクライアントの皆さんと同じような問題を抱え、苦しみを味わったことがあるからこそ、意図をくみ取れるところがあるのかもしれません。長年データと向き合い、どう使っていくかを仕事としてやってきたことが、活きているのだと思います。
比留間:DMPについては今年7月に、プロジェクトメンバー以外にもオープン化しました。それに先んじてアドホックな分析はいくつか手掛けていたのですが、データを軸に、今までは調査をしてみないとわからなかった事柄や、推理的なクラスタリングとその市場のボリュームが把握できるようになったのは大きな変化だったと思います。
定性調査のようなインタラクティブ性がない代わりに、ボリュームやスピード感があるのがデータの良い点だと思うので、これからさらに大きな変化が起きてくることに期待しています。社内に展開後、社員から多くの反響や質問がきているので、今後はそれに対応しながら、次のフェーズへと進めていく予定です。