OMOで実現するWithコロナ対応、3つのサイクル
もう1つ、小売業に求められているのが“Withコロナ”への対応だが、唐笠氏は「ここまでお話してきたOMOの取り組みは、Withコロナへの対応にもなり得る」と話す。
2020年4月に緊急事態宣言が発令され、全国の様々な小売店舗が休業または短縮時間営業を余儀なくされた。唐笠氏は、その期間、消費者は「自分にとって必要な消費とは何か」「どの企業や店舗を応援したいのか」を見つめ直していたのではと指摘する。
加えて、約2ヵ月におよぶ自粛生活で、在宅消費と外消費のバランスは大きく変わった。オンラインを利用した新たな購買方法を経験し、“買い物技術”が著しく向上した消費者も多い。
「消費者は消費することに関して、再選別・再定義を行っています。だからこそ今、OMO対応を進める必要があるのです」(唐笠氏)
取り組みのポイントとして、唐笠氏は3つの“しんか”を挙げ、このサイクルを回していくことが、Withコロナへの対応につながると強調した。
(1)まず顧客理解を“深化”させる
(2)それを踏まえてコミュニケーション“進化”させる
(3)提供価値の“真価”を発揮していく
最後に唐笠氏は、新型コロナウイルスへの直近の対応として、パルコの取り組みを紹介した。同社では以下の考え方に基づき、複数の施策を実施したという。
・不要不急を避ける中でも「欲しい」と思わせる唯一無二の商品・コンテンツを提供する
・店頭で短時間で目当ての商品やサービスが手に入るように、オンラインとオフラインを組み合わせた方法を考える
・人との接触がないオンライン完結型で商品やサービスが手に入る方法を考える
たとえば前述の「PARCO ONLINE STORE」を活用した企画展やCAMPFIREと共同運営するクラウドファンディング「BOOSTER」を活用した応援プロジェクトを展開。渋谷パルコの営業再開前には、無観客・オンラインで「ReOPEN前夜祭」を開催し、延べ20万人が参加した。アートギャラリー「PARCO MUSEUM TOKYO」では、リアル店舗の展示と並行してオンライン展示も実施したそうだ。
唐笠氏は「OMOに正解の方程式はありません。パルコの事例を1つのヒントにして、自社のOMOを加速させてください」と語り、セッションを締めくくった。
