ロイヤルティプログラムを構成する5つの要素
話題は2つ目のトピックに移され、加藤氏がロイヤルティプログラムを構成する5つの要素を説明した。要素を分けて考えることで、現代型のプログラムの特徴がよりはっきりと見えてくる。
(1)目的=誘引したい顧客行動
(2)顧客ロイヤルティ階層構造
(3)リワード対象
(4)顧客ベネフィット
(5)媒体・管理方法
かつて盛んに行われていた「ポイントプログラム」は、購入とリピートを目的に、購買の金額や頻度に応じて、ポイントやクーポンを付与するものだった。それに対し現代のロイヤルティプログラムは、ブランドへの支持を生み出し、ファンになってもらう経済圏を形成し、顧客の経済的な活動、行動、そして心理まで動かすという目的に変わっている。それにともない、プログラムの階層構造も、購入金額や頻度だけでなく、ブランドへの愛着や信頼をベースにする企業が増えている。
進化のポイントは「リワード対象」と「ベネフィット」
さらに現代型のロイヤルティプログラムは、(3)リワード対象と(4)顧客のベネフィットに特徴がみられる。加藤氏は「この2つを体系的に捉えていくことが、ロイヤルティ経済圏を構成する上でキーとなる」と強調した。
リワードについては従来、直近の購入、購入頻度、購入金額などが対象とされていたが、顧客エンゲージメントの機会に通じるものはすべて対象と見なすことができる。たとえば、サイトやアプリへのログイン、店舗へのチェックイン、SNS投稿といったブランドとの接触に対し、リワードを設けることが可能だ。堀田氏はパルの取り組みとして、コロナ禍の最中に導入したレビュー機能に言及した。
「コロナ禍によって、日頃実店舗に来てくださっていたお客様がECを利用するようになり、『レビューを見たい』という声を多くいただくようになりました。そこで1レビュー書いていただくごとにポイントが付与される仕組みを設けたところ、驚くほど熱心に書いてくれる方がたくさんいらっしゃったんです。お客様の熱量を他のお客様に伝える良い機会になりますし、企業としても、レビューで寄せられた声を改善に役立てていかなければと感じています」(堀田氏)
また顧客ベネフィットは、ハードとソフトの両面で設計できる。ハードはポイントやクーポンなどの経済的な側面のベネフィットや商品、ソフトは限定されたコンテンツへのアクセスやブランドが与える顧客への称号などがある。
加藤氏による説明に対し、堀田氏も「ハードとソフト、両方のベネフィットが必要」と賛同した上で、「企業が思っている以上に、企業との関係をエモーショナルに捉えているお客様は多い。企業からの気持ちが伝わる顧客ベネフィットを選んでいくことが大事ではないでしょうか」と考えを述べた。
現代型ロイヤルティプログラム構築のアイデアとは? 動画本編では、堀田氏と加藤氏の議論をより詳しくご覧いただけます。