事業会社に近いコンサル経験で何が変わった?
野崎:2社目であるダイレクトマーケティングゼロでの経験では何が得られましたか。

上原:通販の事業構造を理解することと、購買データをもとに施策を導き出す力が身に付きました。そのために、様々な企業の勝ち/負けパターンを理解し、クライアントの各部署を巻き込んでこられたので、非常に良い経験ができました。
野崎:事業会社のマーケターに求められるKPI設計を行う力も身に付いたのではないですか?
上原:そうですね。これまではCPAなど与えられたKPIを達成するのが仕事でしたが、各企業が何をKPIに置くべきか、事業フェーズやインパクトを踏まえどう優先度をつけていくかいうところから意思決定していたので。
事業会社でより深い調整が必要に
野崎:これらの経験を経て、いよいよ事業会社であるSpartyへの転職を意思決定されるわけですが、数ある企業からなぜ同社を選択したのでしょうか。
上原:ベンチャーを元々狙っていたのが一番大きな理由ですね。過去に支援会社の立場で大手企業と向き合ったこともありますが、構造が縦割りで他部署の壁を乗り越えるのがかなりハードなので、そこの垣根がないところを探していました。
野崎:支援会社で様々なクライアントに対してキャリアを積むと、実際に自身にフィットしやすい事業会社をリサーチすることにもつながりますよね。とはいえ、入社前とのギャップはありませんでしたか?
上原:ある程度は想像通りでしたが、物流周りの対応なども考える必要があり、より考えるべきことが増えましたね。他の支援会社に行った人よりはわかっているつもりでしたが、まだまだ各領域で学ぶべきことが多いと思いましたね。
野崎:具体的にはどのようなことですか?
上原:たとえば、企画を走らせて同梱を出し分ける際も、サイトを調整して、コールセンターの人向けにアナウンス表を作ります。すべてがブランドの活動につながっているため、それらを全部見て判断する必要があります。できると思っていたんですが非常に難しかったです。
野崎:ベンチャー規模の事業会社マーケターの立場は想定よりも職域が広いことが多いので、それをプラスに捉えられるマインドが求められますよね。では、最後にSpartyで今後取り組んでいきたいことを教えてください。
上原:シャンプーブランドではなく、最高のヘアケア体験を楽しめるブランドを目指すべく、バリューチェーンからテコ入れを行っていきたいです。
野崎:ありがとうございました。2社の支援会社でクライアント目線の仕事を行いながら、そこで得たノウハウを活かしてベンチャー規模の事業会社であるSpartyのビジネスを伸ばすマーケティング責任者をまっとうするという、キレイなキャリアストーリーでした。
事業会社でマーケティングをしたいという言葉も、「事業会社のインハウス広告運用担当」になりたいのか、それとも「P/L責任を持つマーケター」になりたいのかでも大きく異なるのは言うまでも有りません。後者を想起される方は、上原さんのキャリアやマインドを参考にしてみてはいかがでしょうか。特にD2Cビジネスを展開するベンチャーはマーケターの介在価値を発揮しやすく、伸びしろがあるためチャンスが多く狙い目の領域です。