買いたいように買えるマーケティング、営業が必要に
3つの対策をご紹介しましたが、すべてにおいて念頭に置いておくべきことがあります。それは、買い手となるお客様の状況を改めて深く理解するように務め、「買い手が買いたいように買える」マーケティング・営業を目指すということです。
たとえば営業の方々は、売上を達成するために日夜動いているかと思いますが、もしかすると買い手によっては「それどころではない状況」かもしれません。そのような買い手に対して電話やEメールをして無理に売りにいってしまうと、お互いにとって不幸せです。そうではなく、買い手側の目線に立ち、状況をしっかりと把握した上で、買い手にとって価値ある情報を届けていくようなマーケティングや営業を行うべきではないでしょうか。
今回の調査でニューノーマルにおけるマーケティング・営業の変化の一部が浮き彫りになりました。この他にも、オフラインのイベントがオンライン化するといった様々な変化があります。しかし、買い手目線で買いたいように買えるマーケティング・営業はずっと求められ続けます。今そういった購買体験を提供することができた会社は信頼を勝ち得ていき、今後も成長し続けられるのだろうと思います。
ニューノーマルにおけるマーケティング・営業事例
ここで、HubSpotの利用企業様の中で上手くいっている事例を3つご紹介したいと思います。1つ目は、Web完結の労務管理ツール「HRbase」を提供するFlucle様の事例です。同社はコロナ禍で同ツールのサービスサイトへのアクセスが急増し、4〜6月の平均月次サイトアクセス数が1〜3月の4.6倍になりました。しかし、既存の営業体制ではフォローアップできないという課題が浮き彫りになってきました。
そこで同社は、営業とマーケティングが一緒になって「ペルソナ」と「バイヤージャーニー」を設計。その上で現在、顧客体験と自社の営業効率両方を上げるための仕組みを構築している最中とのことです。
同社のアクセスが伸びたのは、以前から休業手当の計算方法に関する解説記事などをオウンドメディアで丁寧に更新していたからでした。そのようにコンテンツを更新し続けることの大切さと、マーケティングと営業が一緒になって仕組みを作ることが重要だということがわかる事例です。
続いて、2つ目の事例企業は、飲食店向けのモバイルオーダープラットフォームなどを提供するShowcase Gig様です。同社はCOVID-19の影響を大きく受けた業界である飲食業界を相手にしていることもあり、同社オウンドメディアの「DIG-IN」で飲食店向けのお役立ちコンテンツを多数展開しました。
その結果、「非接触」「テイクアウト」といったキーワード検索からの流入が増加。お問い合わせも10倍近く増えたそうです。そして、現在は急増したリードにしっかりと対応できるよう、インサイドセールスに受け渡すフローの自動化を進めています。さらに、チャットの利用も検討しています。
同社も質の高いコンテンツの作成により見込み客を惹きつけることができた良い事例ですが、コンテンツをきっかけに自社サービスに興味を持ってくださった方をリードとしてフォローしていく仕組み作りに注力されているのが特徴です。
そして、最後にご紹介するのがBCP(事業継続計画)と呼ばれる、災害やシステム障害時のデータ保護など事業を続けていく上で必要な対策ソリューションを展開するビーティス様の事例です。
同社は4月の緊急事態宣言の影響などがあり、急きょオフィスが閉鎖となってしまいました。そのため、オフィスの固定電話にかかってくる問い合わせや見積書作成の依頼に対応ができなくなってしまったのです。そこで問い合わせの取りこぼしを減らすため、Webサイトにチャットを設置しました。
また、新型コロナウィルスにおけるBCP対応のブログ記事を公開したところトラフィックが急増。これを受け、防災関連のチェックリスト案内や過去のBCP関連ブログをeBookにまとめてライブラリーのページを作成・案内するなど、ブログを契機につながった見込み客を成約に導けるような施策を検討されています。