受注精度を把握する7段階のフェーズ管理とは
柳生氏は、マーケティングファネルにおけるステップごとのデータを正しく把握し、正確な転換率を導き出すために重要なことがあると力を込める。
「重要なのは、パイプラインマネジメントです。各商談の受注確度を正しく把握しなければ、セールスの着地読みがずれてしまい、目標を達成することはできません。パイプラインをうまくマネジメントできず、目標を達成できないという問題が当社でもよく起きていました」(柳生氏)
同社ではそのために、セールスフォース・ドットコム社のフェーズ管理手法を参考にして、7段階にわけた商談のフェーズ管理を導入している。
7段階に分けて商談管理を行うと、データ入力の負荷は若干増えるが、商談の確度を正確に把握できるようになる。同社でもこの手法を導入したことにより、読み通りの受注ができるようになっていったという。
同社がSalesforceを導入したのは、従業員が200人を超えてから。2016年ごろまでの創業期は、自社プロダクトであるSansanとWebフォームツールを活用してリード管理を行い、商談管理はSansanの「商談管理機能」で実施。すべてのリードがMarketoに集約されるようにしたという。また、その後はインサイドセールスに受け渡し、商談はSalesforceで管理した。企業規模に応じたMAツールの導入も大切だと柳生氏は話す。
創業期から拡大期へ移行するときのシグナル
創業期を乗り越えた企業は、さらなる従業員規模の拡大を目指して、成長スピードが加速する。柳生氏は、企業が拡大期に入ったことを示すシグナルとして、エンタープライズ企業の獲得を目指したセールスチームの拡大や、アップセルを狙う既存顧客の見極め、商材の多様化といったニーズが社内から増えることを挙げた。エンタープライズ企業にセールスしたい、アップセルを行いたいなどの要望が出てきたときは、その組織は拡大期に入ってきたと言って良いだろう。
ちょうど同社が拡大期に足を踏み入れた2016年に入社した柳生氏。同氏が注力したのが、ABMの推進だったという。
「攻略したいアカウント(企業)を選定し、ニーズに合った商材を提案する。あるいは法人ごとに誰に・何の商材をアプローチするか戦略を練る。拡大期にはこうした戦略策定が重要です」(柳生氏)
拡大期のデータ戦略で最も課題になるのは「データを取引法人単位で集約し一元管理すること」。創業期は部門ごとにデータ管理をしていても、拡大期は同じ担当者に違う商材を提案したり、同じ企業の異なる窓口に商材を提案したりする必要が出てくる。このとき、顧客ごとの状況を自社内で統一して管理し、取引法人単位で一元的に閲覧できるよう整理しておけば、より効果的にアップセルを狙える。