※本記事は、2020年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』57号に掲載したものです。
デジタルの世界へスムーズに“移住”する
LEAPT 代表取締役 戸栗頌平氏
複数BtoB企業と起業を経て、マーケティングコンサルタントとしてBtoB専業マーケティング代理店へ従事。その後、外資SaaSのユニコーン企業の日本法人立ち上げを行い、法人営業開始後マーケティング責任者として創業期の日本法人を牽引。現在、LEAPTにてBtoBマーケティング支援事業を行う。海外SaaS、マーケティング、カンファレンス等に精通。
私は前々職にて、BtoB専業のマーケティング支援会社でコンサルタント兼マーケティング担当として、ナショナルクライアントからSMB企業までインバウンドマーケティングの支援業務をしていました。前職では外資系のマーケティング、営業、サービスツールを開発販売するSaaS企業の日本法人立ち上げ業務と、マーケティング業務の立ち上げを関わりました。現在は独立し、LEAPT(レプト)にて、コンテンツを活用して見込み客獲得から事業成長につなげるBtoBマーケティング&営業支援を、一部上場企業からスタートアップ企業まで、提供しています。本連載ではコンテンツマーケティングをテーマに、オフラインで活用してきたコンテンツをデジタルに上手く移行した例や、私のインハウスマーケティング担当での経験を交えて解説していきたいと思います。
かつてBtoBビジネスにおけるリード獲得のきっかけは、展示会や業界イベント、セミナーなどのオフラインイベントが一般的で、デジタルを活用したリード獲得は一部の企業のみが行っている施策でした。
しかしビジネスシーンにおいても、インターネットが存在することが当たり前である若い世代が多くなり、状況が変わってきています。「デジタルネイティブ」と呼ばれる彼らはインターネットで十分に下調べし、購入の判断材料を検討してからモノを買うということが当たり前です。2012年に米国で発売された書籍『The Invisible Sale』(Tom Martin著/Que Publishing)では、テクノロジーの進化によりBtoBの購買活動の57%は買い手が自ら終わらせ、ある程度の情報武装を済ませてから営業パーソンと接触するということが説明されています。
こうした背景から、ここ数年でBtoB企業でも徐々にデジタル化が進んできました。成長を続けている企業は、オフラインで培ったコンテンツを、デジタルに上手く移行できている印象があります。さらにコロナ禍でオフラインでの企業活動が制限される中、買い手はますます、デジタルでの情報を頼るようになっています。これまでデジタルマーケティングに取り組んでいなかった企業も、この購買行動の大きな変化にあわせることが急務です。
では、オフラインで培ったコンテンツを活かしてオンラインの世界へスムーズに移住し、「デジタルイミグラント」になるために、企業はどのような行動をとればよいのでしょうか。ポイントは「買い手を正しく理解すること」にあります。