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運用型広告時代の要!トレーディングデスク最前線(AD)

広告運用実績が過去最高に 8ヵ月で運用型広告の内製化に成功したディノス・セシールのインハウス戦略

 事業の改革を進める企業にとって、アウトソーシングにかかるコストをいかに圧縮していくかは、最重要課題の一つとして考えられることが多い。ディノス・セシールでは、Webの広告運用にかかるアウトソーシングコストをインハウス化によって圧縮することを目指した。結果、運用において、過去最高の実績を叩きだした。本稿では、同社CECOの石川森生氏と同社のインハウス支援を行うハートラス取締役CSMOの高瀬大輔氏に、インハウス化の成功要因を伺った。

インハウス支援は「終わりに向けて始まる」もの

――現在ディノス・セシールのCECO(Chief e-Commerce Officer)として、ECの統括をされている石川さんですが、コロナ禍においてEC市況に変化は出ていますか。

石川:我々総合通販会社のECにおいては、家具やインテリア系商材が好調です。しかし、お出かけシーンが減っている影響でファッション商材は苦戦するなど、カテゴリーによって状況は違っています。一方、全体を見ると、今までECを頻度高く使っていなかった方の利用も増えており、収益としてはプラス傾向にあります。他チャネルと比べても、売上の伸び率は高いです。

株式会社ディノス・セシール CECO 石川森生氏
株式会社ディノス・セシール CECO 石川森生氏

――今回、運用型広告のインハウス化に取り組んだと伺っていますが、どのような背景があったのでしょうか。

石川:広告運用にかかるコストを削減したいと考えたためです。それまではエージェンシーに運用を委託していて、広告出稿金額に対して一定のパーセンテージを手数料としてお支払いしていました。この部分をもう少し圧縮できないかと考えたのが、始まりです。

――インハウス化を検討するにあたり、ハートラスさんを選んだ経緯を教えてください。

石川:インハウス化は「独り立ち」がゴールで、最初からご支援いただく会社との別れが決まっているため、関係の築き方が難しい側面があります。ですが、ハートラスさんはその点をよく理解されていると感じたんです。「自分たちがいつまでも残っていたらプロジェクトは失敗だ」と高瀬さんが話されていたのが、非常に印象的で、ぜひお任せしたいと思いました。

 そこからは、最終的に全広告メニューを自分たちで回せるようにするために、スキームをどのように作っていくのかを相談しながら、順番に進めていきました。

高瀬:当時はディレクション業務のみを社内で行い、実際に手を動かす運用の部分はエージェンシーに一任する形を取られていましたが、その体制が非常に上手く機能している状態でしたよね。

株式会社ハートラス CSMO 高瀬大輔氏
株式会社ハートラス CSMO 高瀬大輔氏

石川:絶好調でしたね。効率も、獲得件数も改善し続けていましたから。

高瀬:より利益を出していくための経営的判断として、上手くいっている体制をあえて見直し、インハウス化に踏み切られたということで、私たちも緊張感をもって支援させていただきました。

1年経たずしてほぼインハウス化へ

――インハウス支援の内容の詳細と、実行までの具体的なプロセスについて教えてください。

高瀬:プロジェクトのゴールは、一定の期間を経た上で、ペイドメディアの広告運用を完全に内製化すること。それによって、原価として発生していたエージェンシーへのお支払いを一気に圧縮し、新たな投資に回すことを目指しました。

 準備段階としてまず、「業務の棚卸し」に着手しました。インハウス化は、ツールやシステムを入れたからといって、実現できるものではありません。そこで重要になるのが、業務設計です。どのような業務が発生していて、何を社内で行い、何をエージェンシーに委託しているのか。石川さんやエージェンシーの協力のもと、現状を知るところから始めました。

高瀬:具体的には、個々の業務タスクやそれにかかる工数などを、各プラットフォーム・システムにあわせて一覧にすることで、理想とする組織像を明確化します。現状の組織体制とのギャップや不足している要素を整理していきました。その後は、売上へのインパクトが大きいところから、媒体や広告メニューを一つずつ、順々にインハウス化していくという流れです。

 石川さんにご相談をいただいたのが、昨年の9月頃で、そこから準備段階を経て、実際にインハウス化のプロジェクトが始まったのは、その年の年末から年明け頃です。現在は、まだ進行中のものもありますが、約8ヵ月でほぼインハウス化が完了しています。

石川:業務設計から実際の業務に落とし込むところまで、内製化するためのフローは整いました。あとはそれを機能させるために組織化を図っていくのですが、今はまだハートラスさんに足りないリソースを補ってもらっている状態です。今後は、人材採用を含めたところまで実現できたらと思います。

成功の鍵は「チームのモチベーション管理」

――実行プロセスの中で、インハウス化を進めるポイントはありましたか?

石川:一番重要なプロセスは、社内のモチベーションをどう管理するかにあったと考えています。内製化を模索し始めた当初から、過去最高実績を叩きだす運用体制が築けている中で、「どうしてリスクを取る必要があるのか」「積み上げてきたものを変えてまで、なぜ今、新しいことに挑戦しなければならないのか」、そう考えるであろうメンバーのケアが先になかったら、チームは空中分解しかねません。プロジェクトが上手くいかないとしたら、そうしたモチベーションの要因が大きいのではないでしょうか。ハートラスさんには、メンバーの気持ちに寄り添って動いていただけて助かりました。

高瀬:確かに既存の体制が上手く回っていただけに、インハウス化への心理的ハードルをどう下げるかというのは、非常に大事なポイントでした。メソッドやフレームだけでは絶対に回らないですからね。

石川:会議のときにメンバーから出た質問について、「今の質問の裏にはこういう不安が込められているので、ここをより具体的に、丁寧に寄り添って欲しい」などと、会議と同時並行でメッセージのやり取りをさせていただいたこともありましたよね。

 私が本当にケアしていたのはその部分ぐらいです。運用メソッドなどは既にハートラスさんで確立したものがありますし、そこがきちんとコントロールできていれば、問題ないと思っていました。

広告運用の実績が過去最高に 次の投資に向けて活気づくチーム

――逆に今回の取り組みの中でハードルになった部分はありましたか?

石川:システムの一部は、委託していたエージェンシーのものに依存していたので、どのように代替するかという話がありました。検討した結果、システムも内製することが決まり、システム部門の担当者が、前倒しで開発してくれました。

高瀬:我々が難しく感じていたのは二点です。一つは、石川さんの話と同じくエージェンシーが持っていたシステムをどうインハウス化していくかということ。もう一つは、インハウス化を担うチームへのOJTの実施です。

 二点目に関しては、既に石川さんが少数精鋭の専門家集団を作り上げていたため、OJTのハードルの高さを感じました。というのも、今まで全体のディレクションをされていた方たちが、入札などの広告運用についても考えなければならなくなることで、それまでの成果を維持できるのかというプレッシャーがあったんです。結果的には、日々のやり取りの中でOJTを並走しつつ、システム構築も上手く進んだので良かったです。

――インハウス化による成果はいかがでしたか。

石川:インハウス化が上手くいっていることはもちろん、広告運用の成果も右肩上がりです。コロナの影響で需要が増えたこともあるので、インハウス化による純増効果がわかりづらいタイミングではありますが、恐れていたような効率悪化は見られず、過去最高の数値が出せています。

高瀬:それに加えて、冒頭の目的にあったエージェンシーへの広告運用における手数料を抑え、新たな投資先を考えられている点は、非常にポジティブな部分だと思います。

 インハウス化までの8ヵ月間は、エージェンシーへのお支払いのみならず、当社にもお支払いいただいていたのでコストとしては投資の段階でしたが、次の通期では黒字に転じることが既に見えています。

石川:メンバー皆が主体的に取り組んでくれていて、次は何に投資したいかというプラスの会話も生まれており、インハウス化を実施した甲斐がありました。また、これまで何か新しいことに取り組むときは、エージェンシーから提案を受け、予算を一部削って試すことが多かったのですが、今は社内で絶えずアイデアが生まれており、チームとしてこれまでより一つ上のフェーズに進めたと思っています。

インハウス化で見えてきた新たな可能性

――最後に、今後の展望を教えてください。

石川:広告運用の精度に関しては、今後より改善していけると予想しています。というのも、エージェンシーが運用を行っていた際は、どうしても先方が把握しきれない社内事情や商品特性の話が出てくることもあり、それを逐一共有しながら広告運用に反映していくハードルが結構高かったんです。

 また、インハウス化によって自社内でコントロールできる部分が明らかに増えているので、広告予算から逆算したサイト運用も視野に入れています。これは、広告を販促の武器として使う発想に近いです。たとえば、今まではあらかじめ決まった運用予算があって、それをどの媒体にどう振り分けるかという発想でした。その概念を取り払い、予算を使って広告を出す必要があれば広告を出稿し、それよりも受け皿となるキャンペーンに予算を割いたほうが良いとメンバーが判断するのであれば、そうした使い方も許されるようになる。自由度が増したことで、出てくるアウトプットの質が大きく変わってくるでしょうから、今から楽しみです。

高瀬:自社内で広告運用を行い、データがより可視化されることで、業務の最適化や効率化が一層進むはずです。ディノス・セシールさんは、仕組み作りのプロですから、実行機能の仕組み化を、さらに突き詰めるファクターも一気に増えていくのではないでしょうか。弊社の願いとしては、お客様との関係値を作るマーケターの本分により時間を使っていただきたいですね。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34525