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有園が訊く!

個人データ利用の規制が強まる中、LINEのマーケティング活用に切り込む

集合データとしての位置情報活用の可能性

有園:では、位置情報はどうですか? 今、ジオターゲティングがかなり進化しつつありますよね。位置情報系のサービスでターゲティング広告を提供する事業者が多く出てきていますが、たとえば「過去2年以内に沖縄に行ったことがある人に沖縄旅行の広告を出す」などが可能になっています。LINEでは位置情報のオン・オフを設定できるようになっていますが、どんな活動をされているんですか?

菅野:まず、位置情報の取得に関しては、ユーザーへオプトイン形式で同意をいただいています。また、有園さんがおっしゃるように、LINEアプリ内から位置情報のオン・オフ設定を変更することもできます。

有園:8,600万ユーザーのうち、大体どのくらいOKしているんですか?

菅野:実数は非公表ですが、相当数のユーザーに同意をいただいています。

有園:かなり多いということですね。その上で、オプトインした人のデータを分析している?

菅野:位置情報は、匿名化・抽象化したうえでの属性分析はしています。しかし、ここでも個人とひもづく形では扱っていません。位置情報は、他のデータとひもづけることで、個人の推定ができてしまいますよね。なので、N数を大きくした上で、ビジネス上の示唆を得られる意味のある分析を行っています。

有園:先ほど私が話した沖縄旅行のような、ピンポイントな広告利用は、理論上はできるけどしていない……ということ?

菅野:そうですね、特定ユーザーの履歴を把握した上でのアプローチという意味では、していないです。人軸ではなく、エリア軸で、このエリアを訪れた人に広告を配信するといった活用はしています。その点、位置情報データをグループ化・抽象化したうえでの活用は、広告事業としてはまだ相当なポテンシャルがあると感じています。

データクリーンルームとパートナーシップ

有園:そうなんですね。でもLINEほどの母数の大きさですと、個人がひもづかない形での分析だとしても非常に有益なのではないかと思います。

菅野:そうですね。我々としても、これまで可視化されてこなかったオフラインでのユーザーインサイトには強いポテンシャルを感じています。また、LINEのプラットフォーム環境下で、パートナー企業が持つ1st party データと組み合わせていただくことで、さらに新しい事業を生み出していく基盤を構築していく事ができると考えています。いわゆるデータクリーンルームの取り組みです。

有園:ちなみに、広告主企業がLINEの位置情報を使ってターゲティング広告を出稿するとき、万が一、向こうの企業側でデータ漏洩があったとしますよね。すると、そこから推定で明らかに「これはこの人だな」と名前とかまでわかってしまう……という可能性ってないんですか?

菅野:位置情報を含むユーザーデータは、企業を含む第三者にそもそも提供しないため、そうした事態は基本的に発生しないと思います。これはLINEに限らず、各プラットフォーマーは法律を順守する立場なので、個人にひもづく情報はすべて第三者には同意なしに渡せないことになっています。

 とはいえ、今はこうした状況下でファーストパーティデータの取得に注力する企業が増え、広告出稿に関してプラットフォーマー側のデータと自社データの連携も広がっています。そこで、先ほど言及したデータクリーンルームを設けて、プラットフォームの環境下で分析するといった方法が、現実的には実践されているのかなと見ています。ただ、その場合もデータが個人にひもづかないように、情報セキュリティの観点から、数十人や数百人単位の分析でしか結果を返してはいけない、といったレギュレーションを一つずつ定めていく必要があります。

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オーディエンス拡張と個人情報

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34812

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