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有園が訊く!

個人データ利用の規制が強まる中、LINEのマーケティング活用に切り込む

LINEポイントを使うと人の行動を促せる?

有園:なるほど。最後に少しLINEポイントの話をしたいのですが、LINEポイントADというプロダクトがありますよね。広告主企業のサービスのインストールなどのミッションをクリアしたり、LINE公式アカウントを友だち追加したりした際にユーザーにポイントが付与される、という。

菅野:はい、いわゆるリワード広告ですね。

有園:私が知る限り、広告事業とポイントビジネスの連携はGoogleもFacebookもやっていません。Facebookは仮想通貨の実現を模索していますが、法定通貨の中でのポイントシステムとは少し違いますよね、自分たちが通貨になると言っているわけなので。

 一方、次世代ブラウザの「Brave」は、アドブロッカーとしても注目されていますが、ユーザーが広告を視聴すると、Braveの発行する自社トークン「BAT(Basic Attention Token)」がユーザーに配分される仕組みを構築しています。LINEポイントもLINE Payの支払いに使えますが、LINEポイントADのポイント原資は、広告主の広告費ですよね?

菅野:そうですね。

有園:私が思っているのは、LINE経済圏の中でLINEポイント付与の仕組みをうまく設定することで、人の行動をある方向に促して、大きく儲けることも可能だろうということです。

 行動科学の知見を使って、ちょっとしたきっかけで人の行動を自然と促すことを、行動経済学の領域では「ナッジ理論」と言います。たとえば、コンビニのレジ前に足跡のマークがあると自然に皆がそこに並ぶ、というのもこの理論に基づく仕組みでありデザインです。

LINE経済圏におけるナッジ設計の可能性

有園:ナッジは通常、何らかのインセンティブとセットになっています。コンビニの列は、並べばスムーズに進めるし、LINEで企業の公式アカウントを友だち追加するとポイントがもらえることも、ナッジとインセンティブが働いていると捉えられると思ったんです。

 ナッジ理論は悪用もできてしまうので、企業や行政が取り入れる場合は倫理観が絶対に必要ですし、必ずユーザーが幸せになる設計をしないといけない。ただ、その前提で、LINEポイントを使えばLINEにも広告主にもユーザーにももっとメリットのある仕組みができそうだな、と。

菅野:確かに、そうかもしれないですね。今のお話で個人的に思ったのは、もちろん可能性はありそうだという一方で、やはりポイント原資が広告主の広告費である以上、一定の広告的な効果が上がらないといけないため、そうした属性のユーザーに相性が良い商品・サービスである必要がありますね。

有園:なるほど。

菅野:なのでおっしゃるように、我々と広告主とユーザーの三者にメリットがあることが大事で、ポイント付与をナッジ理論で捉えてユーザーの行動を促そう、それによってポイントで儲けよう……という方向では、あまり考えないような気がします。公式見解ではなく、あくまで私見ですが。

有園:では、また別の機会に妄想として話しましょう(笑)。今日は個人データの扱いについていろいろとお聞きしましたが、最後にひとことLINEとしてメッセージをいただけますか?

菅野:個人データの扱いについて、業界からはもちろん一般ユーザーからも関心が高まっているのは重々承知しているので、その点には今後も誠実に対応していきます。その上で、広告事業を担当する立場としてはより大きなメリットを企業にもユーザーにも返せればと思いますし、安心安全な活用の範囲内でもまだ十分ポテンシャルがあるので、これから開拓していきたいですね。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34812

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