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有園が訊く!

個人データ利用の規制が強まる中、LINEのマーケティング活用に切り込む

オーディエンス拡張と個人情報

有園:冒頭で、プライバシー保護を重視するというお話もありましたが、そうやって試しながらレギュレーションを設けながら、また世の中とも対話しながら、どういった広告プロダクトなら成立するのかを探している最中という感じ?

菅野:そうですね。おっしゃる通り社会の動向の中で一つずつ判断する、事例を積み重ねるステップが必要だと考えています。

有園:なるほど。広告主企業の視点では今、LINEのインターフェースをお客様窓口にできたり、DMPやcDMPのように使えたりする側面も出てきていますよね。LINE公式アカウントの友だちなら、ダイレクトにメッセージも打ててしまう。そうした使い方も、許諾があればOKということ?

菅野:プラットフォーマーとしてのLINEはプライバシーポリシーでデータの利用方法につき説明しているのはもちろんですが、広告主企業は、API型LINE公式アカウントを通じて自社のプライバシーポリシー等をユーザーに説明したり同意を取得することができます。その上で、LINE側が保有するデータと連携して配信に使うといった機能は用意しています。

有園:つまり、LINEのアカウントをもっている人はひもづけされる、ということ?

菅野:たとえば企業側でお持ちのファーストパーティのIDFAをアップロードしていただく形でターゲティングする機能を提供しております。ただ、iOSに関してはATT(App Tracking Transparency )のロールアウトによっても状況が変わってくるでしょうね。

有園:なぜそこを突っ込んだかというと、オーディエンス拡張の広告配信機能もありますよね? Facebookのカスタムオーディエンスもそうですが、類似拡張は非常に効果が高いと言われているので、どう捉えているのかなと。

菅野:そうですね、確かに当社もオーディエンス拡張の配信は高く評価いただいています。これはそもそも、母数が大きいから推定の精度が高まりやすいという構造があると思っています。

KYC-本人確認の課題とターゲティング

有園:確かに、そうですね。

菅野:機械学習は一般的にデータ量が大きいほど推定精度が上がります。その上で、ご質問の「どう捉えているか」というのは、それは個人データを利用しているんじゃないのか、ということですよね?

有園:そうですね。ここまでのお話で、LINEはメッセージを閲覧や分析していないし、位置情報もオプトインを取っているし、広告主企業としては個人データの扱いに関して安心して出稿できる環境だというのはわかりました。ただ、実際には企業との間で個人IDの紐付けも可能で、それを元にしたダイレクトの配信や類似拡張もできると。それって、いくら個人を特定できない状態で、法律にも違反していないとはいえ、「個人データを使っている」と言えなくもないのかな、と。ちょっと意地悪な切り口で、何ですが……。

菅野:いえ、おっしゃることはわかりますし、今のタイミングでは各プラットフォーマーもそうした視線を受けているのだろうとも感じています。LINEによるユーザーデータの利用は、ユーザーに対して明示しているプライバシーポリシーが絶対で前提であり、いずれの活動もその範囲内で行う必要があります。他方で、広告主企業データと連携する場合には、企業側のデータポリシーにも準拠する必要があります。

 類似拡張はすでにベーシックな機能として各アドプラットフォームが実装していますが、これはあるグループの属性を推定する技術です。金融サービスではKYCのプロセスが義務化されていますが、様々なデジタルサービスを運営するうえではどのようにユーザーを認証し、データ活用するかの議論はよりセンシティブになってきていますね。

有園:“Know Your Customer”、本人確認のことですね。そうか、そもそもLINEでの個人情報が「みなし」の属性なわけですね。

菅野:そうですね、広告主様や代理店様には「LINEさんはみなし属性なのでターゲティング精度が低いよね」という言われる場面もありました。しかし、データボリュームを背景に、個人と紐付かないセキュアな形で属性を推定する技術や精度は随一だと思います。LINEが保持しているデータ、保持していないデータ、保持しても利用しないデータの理解をしていただくことが重要だと考えています。

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LINEポイントを使うと人の行動を促せる?

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34812

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