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日本のBtoBマーケティングを底上げする Sansanが見据える、イベントテック事業の勝算

コロナ禍を機に変わる日本のBtoBイベント

――では、イベントテック市場の可能性について教えてください。日本でイベント関連のテクノロジーが進化しなかったのは、どういった要因があるのでしょうか。

寺田:英国で立ち上がったばかりのオンラインイベントプラットフォームのhopinという会社が、早くも資金調達を実施し、2,000億円の企業評価を受けています。海外では既に相当な盛り上がりがあると感じていますが、日本では前述のように、ほとんど進化していないのが現状です。

 要因を端的に言うと、成功体験が継続していたので、変革の必要性がなかったからだと考えています。BtoB企業が広告以外でリードを獲得したり事業機会を広げたりするには、イベント出展がほぼ唯一の選択肢です。なので主催者が出展不足で困ることもあまりなく、BtoBイベント自体の市場はずっと伸びてきました。

 とはいえ、テクノロジーの力でぐっと効率化すれば、リソースをもっと企画などに配分でき、出展社や来場者に新しい体験の提供もできるはずです。それを手伝うのが、イベントテックです。さらにコロナ禍によって、多くのイベント事業者が急速なオンライン化を余儀なくされ、主催側も出展側も急にたくさんの課題を抱えているのが現状です。我々がその解決に役立つプラットフォームになれるよう尽力しますし、またこれを機に日本の状況も底上げされるだろうとも思っています。

データがつながっていることがイベント成果の最大化の肝

――確かに、その意味では昨年が大きなターニングポイントになりそうですね。初めてウェビナーに取り組んだ企業も、非常に多いのではないかと思います。イベントテックはそれこそ大企業のカンファレンスから中小企業のウェビナーまで、役立つ範囲がとても広いですが、支援のポイントは何だとお考えですか?

林:イベントというマーケティング施策にテクノロジーを活用する上で、最も重要なのは、データベースだと思います。参加者数や満足度などを点で捉えても、効果を最大化するのは難しいですし、次にもつながりません。LPや営業担当経由で集客し、セミナーを実施し、関心度が高い人に営業をかけることが本来のマーケティング活動かというと、そうは言えないと思います。

 どういった経路でどういった方が何人参加し、何人がどういう部分に課題や関心を持って、その後どうなったのか、といった一連を捉えて分析するには、集客段階から成約までのデータが一気通貫でつながっていることが必要です。マーケティングオートメーションを使っているなら、当然そのデータとも連携されているべきです。

 ただ、データ連携はアナログな作業も発生するので、その手間をかけられる企業はできても、体力のない中小企業だと難しい現状もあります。たとえば「Sansan Seminar Manager」は、人的リソースが少なくてもこの中でセミナーの効果を最大化できるように、ピンポイントで開発した製品でもあるんです。

――BtoB企業においてイベントは、とても大事なマーケティング施策の一つなのに、マーケティング活動になっていないというのは的を射たご指摘です。ただ、テクノロジーに投資してアクションを変えていくには、おおもとのマインドチェンジが必要かと思います。どういった言葉が響くと思いますか?

林:まだ我々も手探りですが、テクノロジーの欠如によって生じている機会損失やブランド毀損は、説明すればピンとくるかなと感じています。たとえば、申し込んだが行かなかったセミナーから、来場のお礼メールが来たりすることがありますよね。申し込んだ時点で大事な潜在顧客なのに、そうした事態になると、好感も購買意欲も失われてマイナスになります。こうした部分を解決できると提示することが、マインドチェンジの第一歩になるのではと思います。

 ただ、まだテクノロジーを取り入れていない企業にも、相当の意欲があるとは感じています。イベントテック事業を発表してからの問い合わせのうち、実は8割ほどが、ウェビナー経験のない企業からだったんです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/25 06:00 https://markezine.jp/article/detail/35280

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