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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

Withコロナ時代、一歩先行く企業コミュニティの共創最前線

マーケティングの仮説検証にも活用 森永製菓「エンゼルPLUS」に学ぶ、コミュニティ運営の成功法則

ファンの熱量を高める企画・コンテンツづくりの秘訣

水野:エンゼルPLUSにおいて、「森永製菓のファン」の心をつかむのはどのようなコンテンツですか?

松野:コミュニティの構造はシンプルで「ブログ」「掲示板」「写真ギャラリー」が中心です。そこで私たち運営側は日々、『投稿しやすくて会話が盛り上がるテーマ』を選択し、発信するように心掛けています。写真投稿や掲示板へは積極的に書き込みを頂き、ブログにもたくさんの反応があります。ブログへのコメントを読むと、「商品が好き、おいしい」を超えて「愛」を感じることもありますね。

 たとえば、お菓子のパッケージなどを使ってアート作品を作る「おうちで楽しもう~アート編~」という投稿型のブログテーマを投げかけたところ、最初はスレッドがあまり盛り上がらなかったんです。すると、「ここは工作好きな私が何とか……!」と使命感をもって投稿をしてくださるファンの方がいらっしゃいました。本当にありがたいです。

 そのほか、少しでも森永製菓を身近に感じてもらえればと思い、「KAZのつぶやき」という自分のブログコーナーを作ってしまいました(笑)。たくさんの応援コメントや、リアルイベントでもすぐに反応を頂けるので、大変励みになっています。

水野:運営側から積極的に盛り上がりそうな企画を投げかけていらっしゃいますね。どんな企画の反応がよかったですか?

松野:毎年盛り上がる企画としては「おやつ川柳」があります。たとえば「秋」とか「新生活」などテーマを決めて川柳の応募キャンペーンをコミュニティ上で行っています。一番多かった時は5,000件の応募がありました。私と広告部のメンバーで優秀作品をピックアップし、森永製菓社員の投票で賞を決めています。

オフィスに貼られた森永製菓社員への投票告知ポスター
オフィスに貼られた森永製菓社員への投票告知ポスター

水野:社内を巻き込んだ活動になっているのですね。川柳を投稿される会員のみなさん側も、森永製菓の社員さんたちと交流できている感覚になり、意欲が高まりますね。価値の高い体験だと思います。

コロナ禍で変わる、会員との接点づくり

水野:オンラインの投稿型のコンテンツの他にも、リアルなイベントを起点に盛り上がった企画もあると聞いています。特にこのコロナ禍でリアルイベントは困難な状況だったと思いますが、どのように取り組まれたでしょうか?

松野:私たちが扱う商品は「お菓子」です。ただ食べるだけではなく、楽しんで食べていただきたいんです。そんな思いから、コロナ以前は「おやつサミット」と呼ばれるリアルイベントを全国15会場で開催していました。毎回、コミュニティ会員の方から多数の応募をいただき、人気を博していました。

 2018年からイベントで実施している「ハイチュウアート制作」というコンテンツが非常に好評です。ハイチュウを加工して花や動物などのキャラクターを作るのですが、とっても可愛くできるんです。先生が参加者の様子を見ながらワイワイと臨機応変に進める進行で、今ではおやつサミット開催時間の半分をハイチュウアートの制作に充てるほど盛り上がります。

松野:そんなおやつサミットも、コロナ禍で2020年2月を最後に中断していましたが、ようやく2020年9月にオンラインイベントとして開催することができました。

松野:初めてのオンライン開催ということで色々気づきはありました。多数の応募のなかから各回当選した12人の会員とZoomを使って先生と双方向でハイチュウアート制作を行い、その様子をさらにLIVE配信しました。リアルイベントでの知見を活用しつつ、Zoomイベントならではの共感づくりの特性もあり、実製作を体験した参加者の方には満足いただけました。ただ、LIVE配信で傍聴した会員にとっては一方通行のコミュニケーションになるので、臨場感が伝わりにくかったのが反省点です。

水野:オンラインイベントとリアルイベントの違いについては、やってみて気づくことがありますね。対策は練られているのですか?

松野:はい、次回はこの反省を活かし、ブロードキャスト型のライブ配信で実施予定です。アーカイブ映像などもうまく活用して、オンラインに適した方式をいろいろ試したいと思っています。オンラインでもじっくり経験値を貯めて、来るべきリアルでの再開の時には、リアル+オンラインをうまく組み合わせて、より多くの会員との接点につなげていきたいと思っています。

 そのほかイベントではありませんが、エンゼルPLUSでは緊急事態宣言下で外出が規制された4月、おうちで楽しめる企画を数多く実施しました。最初に始めたのは「キョロちゃんぬりえコンテスト」でしたが、700件を超える応募があり、中にはとんでもないクオリティの作品の応募があり一同仰天しました。

水野: すごい!プロの域ですね。

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この記事の著者

水野 慎也(ミズノ シンヤ)

株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト
デジタルマーケティングを中心に、IT製品・サービス市場の調査分析を通し国内企業のITや企画部門向けにコンサルティング活動を行う。 自身も前職のカゴメでは、ファンコミュニティサイト“&KAGOME”の担当者として運営をリードした実績を持つ。
【関連リンク】アイ・ティ・アール

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2021/02/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/35403

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