広告配信でもテレビとデジタルのシナジーを発揮
MZ:現在、どういった点が特に広告主に受け入れられていますか? UltraImpressionの動画広告の特徴を教えてください。
棚田:まず、先ほど触れたターゲティングですね。参画する5社のうち、Supershipが取り扱うキャリアデータ(※)を基盤とした正確で膨大なデータを強みに、柔軟なデータセグメント設計による広告配信を実現しています。同時に、我々のコンテンツ接触や第三者データの分析も掛け合わせた趣味趣向によるターゲティングも、広告主に好評です。
※Supershipが取り扱うキャリアデータは、各関連法令を遵守し、適切な情報セキュリティのもと管理・運用しています。また、キャリアデータは全て匿名化されており、個人の氏名、番地を含んだ住所、電話番号、メールアドレスなど、個人の特定につながる情報は含まれません。
2つ目は、テレビ局が制作するコンテンツに配信される、プレミアム在庫としての安全性や信頼性です。広告自体にも考査があるので、他社の広告によるブランド毀損の心配もありません。
そしてテレビとデジタルのシナジーを創出できる点が、他の動画広告ネットワークにない大きな特徴です。調査では、双方の重複接触でCM認知度やブランドリフトに効果が出ています。「テレ朝キャッチアップ」は専念視聴率がぐっと高まるので、テレビで潜在的に触れたCMをはっきり認識する、という流れができています。
MZ:今、デジタルマーケティングではCookieレス対策が大きな課題になっていますが、その点にはどう取り組まれていますか?
棚田:Cookieレス対策は、デジタル上のビジネスにおいて非常に重要なファクターだと捉え、Supershipと連携して良い解決策を探っています。ただ、元々我々には良質なコンテンツがあります。その宝物と、リーチしたい人の嗜好をうまくつなげることで、広告効果をお返しできると考えています。今後はその部分により磨きをかけていくつもりです。
YouTubeは15分ずっと“強”のコンテンツ
MZ:三谷さんは、テレビとデジタルをまたいでコンテンツ制作に携わる中で、「視聴」の違いをどう感じられていますか?
三谷:いちばん大きいのは、デジタル上のコンテンツは能動的に選んで、自由度高く視聴できる点だと思います。地上波は、基本的にはそのとき流れている番組から選びますが、膨大にコンテンツが存在するデジタルの世界では、取得する情報を自分で選ぶ主体性が強くなります。また、もちろん録画すれば地上波も同じですが、デジタル上だとそもそも自由に停止したり繰り返し観たり、それぞれの好ましい形での視聴がしやすいですよね。
MZ:そうした点を踏まえて、工夫している点などはありますか?
三谷:たとえばYouTubeのダイエット企画は個人に焦点を当てた企画なので、テレビ番組で進行役を担うときには映らないような自分の見せ方を考えています。また、YouTubeはそもそも15分程度の短いコンテンツが多いので、それに合わせるとテレビの収録とは全然違うつくり方になりますね。1時間のテレビ番組なら、それなりの時間をかけて収録して編集で強弱をつけますが、YouTubeは15分ずっと“強”という感じ。撮る時点で、15分にいかに凝縮できるかが勝負だなと感じています。
また、視聴者に参加していただくことも、大事な観点だと思っています。YouTubeの感想を、私のInstagramにコメントいただいたりしますが、それを次の動画で紹介すると反応していただけたりしますね。
MZ:そんな双方向性が実現するのは、デジタルならではですね。
三谷:そうですね。また「アベマ倍速ニュース」は、冒頭で「視聴者がコメンテーターです」とお伝えし、リアルタイムで書き込まれるコメントを紹介しながらニュースを伝えているんです。YouTubeよりもさらに近い状態で、視聴者と一緒に番組を作っている感覚があります。