重要なのはCXだけではない。EXを強化することでCXが向上する
バニッシュ・スタンダードが提供する法人向けサービス「STAFF START(スタッフスタート)」は、国内最大の店舗スタッフ専用のオンライン向け接客サービス。
1,215を超えるブランドで採用されており(2020年12月時点)、2020年には年間流通総額が1,100億円を突破している。つまりこれは、STAFF STARTを通じて、店舗スタッフが自身のスマートフォンなどを用い1,100億円を生み出したということである。非常に大きな市場の変化だといえるだろう。そして、このコロナ禍において、STAFF STARTの活用はさらに活発になっている。

株式会社バニッシュ・スタンダード 代表取締役の小野里氏は、スタッフスタートの活用がここまで伸びた要因として、「企業からの店舗スタッフへの評価にカギがあった」「店舗スタッフのオンライン接客に対する評価が上がったことで、オンライン接客の質が一気に上がった」と話す。

これまで店舗スタッフは、店頭での接客しか評価されていなかった。たとえば、アパレル店舗スタッフがコーディネートを撮影して投稿しても、SNSを更新しても、それが数値的な評価につながることはない。そのため、店舗の業務が最優先でオンライン接客の業務は二の次になってしまっていた。
その点、STAFF STARTでは、店舗スタッフのオンライン上での接客がどれだけ売り上げにつながっているかを可視化することができる。店頭での接客業務と同様にオンライン接客も評価の対象となると、一気にオンライン接客の質が上がっていったという。
「これまでずっとCXのことばかり考えていて、従業員の成功体験は考えられていませんでした。マーケティング用語に変換すると、Employee(従業員)の成功体験はEX。このEXを強化することで、店舗スタッフによるオンライン接客の質、E2C(Employee to Consumer)が上がっていくのです」(小野里氏)

現在、至るところで“DX”というワードを耳にするが、これからは“EX”も加わっていく。これによってはじめてオンライン上のCXが向上していくのではないか、と小野里氏は話す。
ちなみに、スタッフスタートで一番売り上げをあげている店舗スタッフは、月間で約9,000万円の売り上げをあげているそうだ。また、オンラインだと地方や都心に関係なくチャンスがある。現在売り上げの上位にいるのは、地方店舗のスタッフが多いというのも興味深い点だ。
そして、このSTAFF STARTとLINEが連携し、今年の秋にリリース予定だという新しいソリューションが「LINE STAFF START」である。
リアルでもオンラインでも、より温かみを感じられる体験を
「LINE STAFF START」は、各店舗スタッフにLINE公式アカウントを提供することで、ユーザーとスタッフのLINE上でのコミュニケーションを円滑にするもの。
たとえば、LINE公式アカウントでブランドを友だち登録すると、スタッフの自己紹介プロフィールがメッセージで送られてくる。自分に合いそうなスタッフを選択すると、そのスタッフが友だちに登録され、LINE上で商品を紹介してもらったり、手持ちの洋服でコーディネートを組んでもらったりと、オンラインで接客してもらうことができる。

今年の秋のローンチを目指しているLINE STAFF STARTだが、ゆくゆくはLINEビーコンによる来店検知の機能も実装していきたいと池端氏。自分のことを友だち追加してくれているユーザーが来店すると店舗スタッフに通知が飛び、過去の購入履歴をチェックできたら、オフラインでもよりパーソナライズな接客が実現する――そんな構想もあるという。
「コロナ禍で接客がどんどん簡素化されていくのではなく、LINE STAFF STARTによって、これまで以上に人のぬくもりが感じられる接客を提供できればと考えています」(池端氏)
続けて小野里氏も、「デジタルテクノロジーを使って、店舗で働いている人たちや商業施設を活性化していく。そんな未来をLINEさんと一緒に作っていきたいです」と展望を語った。
日常生活の中に多数の接点があるLINEだからこそ、人・場所・瞬間を捉えたコミュニケーションがオンラインとオフラインの両方で可能になる。LINEという大きな顧客プラットフォームと、スタッフスタートという店舗スタッフのプラットフォームが連携することで、店舗スタッフの「売る体験」、顧客の「買う体験」がどのように変わっていくのか、注目していきたい。