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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

コロナ禍に求められる、オンライン「棚取り」 ポイントは4種のUGCの活用


事例に学ぶ、UGCの自然な増やし方

 先ほどの分類をもとに、2つの事例を紹介します。

IGR・UGR事例:化粧品の全色レビュー

 まず、化粧品のリップで多いのが「全色レビュー」という紹介のされ方です。内容はシンプルで新商品のリップをYouTuberやインスタグラマーが全色一気にレビューするというもの。化粧品メーカーからのオファーで#PRを付けて投稿しているものよりも、インフルエンサーが自らレビューしているケースも多く見られます。これらは先ほどの分類でいうとIGRやUGRが生まれた例になります。

 化粧品業界(とりわけリップ)では、この「全色レビュー」というレビューフォーマットが定番化しているため、商品提供の際はできるだけ多くのカラーバリエーションを用意しておいたほうがUGCを誘発しやすいでしょう。このように「自社商品のマーケットにおいて、インフルエンサーを中心にどのようなレビューフォーマットが多く生まれているのか?」について、事前に知っておくとUGCを誘発しやすい商品設計が考えられます。

FGC事例:ナイキのNike Run Club

 ナイキのNike Run Club(ナイキランクラブ)は、ファンのブランド利用体験がそのままFGC(Fan Generated Contents)がシームレスに創出される仕組みが構築できています。ランニングのログを蓄積できる専用のアプリを通じて、走り終わった後にInstagramやTwitterなどのSNSにそのまま投稿できる導線になっているため、毎日複数のFGCが生成され続けています。

 投稿の画像はナイキのロゴが入った状態で生成されるため、たとえば新たにランニングを始めたい人がInstagramで「#ランニング」で検索した際、ナイキのロゴが入ったFGCをいくつも見ることになります。そのため、ビギナーに対して「みんな使っている」状態を作り出せます。検討行動の後押しだけでなく新たな接点作りにも寄与している事例と言えるでしょう。

消費者がUGCに反応したくなるツボを探そう

 一見、紹介した2つの事例はアプローチが異なるように見えるかもしれません。しかし、共通している点があります。それは、自社商品に対して消費者がUGCに反応したくなるツボがどこか理解している点です。

 そのツボは、商材の種類や自社ブランドに対する消費者からの期待度によって異なります。先ほどの事例で言えば、化粧品(リップ)の場合は「全色レビュー」というレビューフォーマット、Nikeの場合は「ランニングログの習慣化」が反応したくなるツボでした。

 新商品を出す度に反応してくれるインフルエンサーや消費者の行動には、どのような傾向があるか? 継続利用してくれているファンの行動にはどのようなインサイトがあるか? これらに対する理解を深めることでブランドごとのツボが見えてくることでしょう。結局「お客様を知る」ことが一番の近道になりそうです。

 商品・ブランドによって向き不向きはあるかもしれませんが、IGR、UGR、FGCのいずれかが特別重要ということはありません。私たち消費者は、1つの口コミ情報だけでは満足しないからです。様々な立場の人から多面的・複層的に口コミ情報を得ることで、認知し、興味を持ち、購買の意思決定をするのです。

 あらゆるUGCを効果的に創出し、マネジメントしていくこと。これがコロナ禍を機にオンラインでの買い物が当たり前になった時代に強化していくべきSNSマーケティングだと私は思います。

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/07 13:00 https://markezine.jp/article/detail/36452

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