CV送付量が増えると、ポジティブな循環が発生する
――Facebook社としては、今回の取り組みの成功要因をどのように分析していますか。
田中:今回の成功要因の一つは、ポジティブフィードバックと呼ばれる良い循環を作れたことにあると思います。当社の広告配信プラットフォームは機械学習が搭載されているので、CV送付量が増えることで、広告品質を予測する精度が高まり、さらによい結果が得られるようになります。
三谷:弊社がご支援した実績としては今年の3月末時点でセゾンさん含め4社ですが、すべての案件でパフォーマンスが10%程度改善しているので、そこからも「雨が降っている影響」の大きさを感じます。また、早くスタートすればそれだけデータも蓄積し、広告配信の効果を高めることにもつながります。
――実装の際の注意点や、スムーズに進めていくポイントはあるのでしょうか。
田中:おっしゃる通り、できるだけ早く手を打つことが重要ですが、CAPIの実装にはある程度の時間がかかることにご留意いただきたいです。今回2ヵ月で実装できたのは、セゾン自動車火災保険さんの社内調整力に加えて、電通デジタルさんの負担をかけない実装が上手く働いたためです。実際にはそれよりも長い時間を要するケースがほとんどなので、導入を検討されている企業の皆様には早めの対応をお願いしているところです。
三谷:Cookie対応全般に言えることですが、導入を進める際は、“接続先起点”の発想に陥らないよう注意が必要です。なぜならFacebook社が提供するプラットフォーム以外でも似たような取り組みが始まったとき、利用するデータ自体はほぼ同じなのに、接続先の媒体ごとに都度情報の収集・整形の基盤を構築していては、二重三重のコストがかかることになるからです。
そこで先に共通基盤を構築し、媒体ごとの多少の差異はクラウド上で各媒体用に整形することで、拡張性の高い実装を実現していくことが大切だと思っています。
CAPIの可能性:ファネル下部の最適化、オフラインデータ活用も
――最後に、皆さんそれぞれの今後の展望を聞かせてください。
黒川:冒頭お話したように、オンラインでマーケット展開している企業としてCookie規制の対策はマストだと理解しながらも、なかなか良い方法が見つからずにいました。
ですが今回CAPIを実装したことで、Cookie規制の影響がどれほど大きいものなのか、それと同時に対策することの重要性とそれによる効果を実感しました。目まぐるしく変化する環境についていくのは大変ですが、情報のアンテナを広げつつ、良い結果が得られそうなものがあれば今後も積極的にトライしていきたいです。
三谷:CAPIを従来のCookieベースの計測で取れていたデータの補完だけでなく、オンライン行動のより深い地点、つまりディーパーファネルの最適化に役立ててもらい、高価値なユーザー獲得に貢献するサポートができたらと考えています。
たとえば最近ですと、見積もりの時点で成約を予測するモデルを作り、そのモデルのスコアに対して最適化をかけることで疑似的に成約を最適化していく取り組みをはじめています。そうした新しいユースケースを見出して、セゾン自動車火災保険さんを含むクライアント様にご提案していけたらと思います。
田中:当社では、プライバシーとパーソナライズ広告は必ずしも対立するものではないと考えています。両者を両立し、利用者と企業に対し価値提供できるよう、様々な取り組みをしていきたいと思っています。今回のような成功事例を外に発信するのも責務のひとつです。同時に環境も変わっていくと思うので、それに合わせて適切なソリューションを開発していくことが重要だと考えています。
CAPIについては、使い方にはまだまだ発展の余地があります。たとえば、CAPIで取り込めるデータの種類は多様で、オフラインデータも含まれます。オフラインの購買データを取り込むことで、オンオフ統合での効果測定も可能になりますので、そうした世界観を見据えて、展開を進めていきたいです。
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