本記事では、コロナ禍におけるテレビ機器利用の変化を調査データをもとに考察します。
※本記事は、2021年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』67号に掲載したものです。
コロナ禍におけるテレビ機器利用の変化は?
長引くコロナ禍は人々の生活習慣に大きな変化をもたらしました。その変化の影響を大きく受けたものの一つがテレビです。近頃ではインターネットに接続したテレビ(以下、スマートテレビ)が普及し、日本人の約3人に1人は自宅に1台以上スマートテレビがある(※1)までになりました。
そして、コロナ禍においてテレビ機器は「テレビ番組を見る」役割を超えて、「映像作品を見る」という役割を果たすように変化していったのです。今回はインテージのスマートテレビ視聴ログ、Media Gauge®TV(※2)のデータを用いてその変化の様子を観察し、これからのテレビを通じたマーケティングに求められる視点とは何か考えていきたいと思います。
まずはテレビ機器の利用状況が新型コロナウイルスの感染状況に合わせてどう変化していったかを確認していきましょう。【図表1】を見ると、2020年の3月後半〜5月頭、外出自粛要請や緊急事態宣言が初めて出された所謂「第一波」の時期に、テレビ機器の利用時間が大きく増えたことがわかります。
その後は感染状況に合わせるように減少傾向に転じ、7〜8月の「第二波」の時期に多少の視聴量増加が見られましたが、一般的にテレビ視聴の増える年末年始の時期を除いて、第一波ほどの盛り上がりを見せることはありませんでした。そして、緊急事態宣言下で迎える二度目のゴールデンウィークとなった今年、再度テレビ視聴時間が増加傾向になりましたが、2020年ほど大きくは伸びませんでした。
以上のことから、初めての自粛生活でおうち時間の過ごし方が定まらなかった第一波の時期、人気ドラマの再放送やスペシャル番組を視聴した人も多かったが、長引くコロナ禍で生活者がそれぞれの「ステイホーム術」を身に付けたことで、テレビ視聴以外の方法でおうち時間を過ごす人が増えていったのかもしれない、という推測ができます。それでは、テレビ機器を通じた生活者へのアプローチはコロナ前と同じでよいのでしょうか。
【図表2】のように、テレビの視聴時間の中でも地上波やBS/CSの「テレビ放送」視聴と、NetflixやYouTubeといった動画配信サービスを中心とした「テレビ内アプリ」の視聴に着目してみると、テレビという機器の使われ方が変化していったことがうかがえます。
テレビ放送視聴は第一波初期や年末年始にこそ上昇が見られるものの、それ以外ではほぼ横ばいであり、コロナ禍が「テレビ番組を見る」という行動自体に与えた影響は一時的なものだったことがわかります。その一方、アプリ利用の動向を見てみると、第一波の時期に大きく利用時間が伸びると、続く第二波や第三波・第四波の時期にも利用時間が延びていることが確認できます。これはおうち時間の過ごし方の一つとして、「テレビで動画配信を見る」というスタイルが定着した生活者が少なからずいたことを示しています。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
-
- Page 1
-
- Page 2
-
- Page 3
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
林田 涼(ハヤシダ リョウ)
株式会社インテージ 事業開発本部 メディアと生活研究センター アナリスト
2018年、株式会社インテージに入社。テレビを中心にメディア接触データの集計分析を担当し、メディアと生活者の関係性を日々ウォッチしている。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
