昼間や18〜19時頃の視聴が増加
ここからは、アプリ利用を含めたテレビ機器の利用スタイルについてより詳しく見ていくことで、これからのテレビ機器を通じた生活者へのアプローチ方法について考えてみましょう。
【図表3】【図表4】を見ると、テレビ放送視聴はコロナ禍前後で変わらず朝・昼・夕〜夜に三つの山が見られますが、平日の朝の山がやや低めになり、昼間の時間帯の接触率が高めになっていることから、在宅勤務の普及で朝の起床時間がばらけたことや、お昼休憩でつけたテレビをそのままBGM代わりにつけ続ける姿が浮かび上がります。


また、コロナ前に比べてゴールデンタイムの山の盛り上がりが2時間程度早まっていることも特徴的で、仕事が終わり次第そのままテレビをつける流れが想像されます。
これだけでも、昼間や18〜19時頃により重点を置くなど従来のテレビマーケティングを見直すのに十分な変化と言えますが、ここでさらにアプリ利用にも目を向けてみましょう。こちらは平日と休日で山の形が大きく異なります。
平日では17〜18時頃に盛り上がりを見せた後、テレビ視聴が増える19時頃に一度視聴が減り、その後21時頃を頂点に再度視聴が増加します。休日では全体として16時頃を頂点とした一つのなだらかな山になりますが、テレビの視聴が減る10〜11時頃や、20〜21時頃にも小さく盛り上がりを見せていることが特徴的です。いずれにせよ、ご飯を食べる昼間や夕方の時間には動画配信よりも情報番組やバラエティー番組などをテレビで視聴する姿が浮かび上がります。
コロナ前後でアプリ利用の山の形自体には変化がありませんが、利用率が全体的に伸びていることも着目するポイントでしょう。2021年のデータでは最もテレビ視聴とアプリ視聴の差が縮まる休日の15時頃、視聴時間の割合がテレビ:アプリでほぼ2:1になっています。ここからイメージされるのは、休日をテレビの大画面で動画を見ながら過ごしつつ、ご飯を食べる時間にはテレビ番組にスイッチして団らんの時を過ごす家族のワンシーンかもしれませんし、一人暮らしでもご飯の時間はテレビのニュースや情報番組でコロナ関連の情報をキャッチする様子かもしれません。