クリエイティブのインハウス化がブランドの一貫性を担保する
――I-neブランドは、商品パッケージやWebサイト、広告クリエイティブなども統一感があります。これはどのようにして生み出しているのでしょうか?
社内にインハウスのクリエイティブチームを持っていることがブランドイメージ維持に大きく貢献していると思います。外部に委託することが悪いということではなく、ブランドの一貫性や自分たちの熱量を保つ上でインハウス体制が有効と考えてのことです。私が統括するブランディング本部・インハウスクリエイティブチームでは、ブランド開発から実制作までのクリエイティブ全般を担っています。プロダクトデザイン、広告クリエイティブ、店舗の内装やディレクション、Webサイト、SNS運用、動画制作もこのチームで主導していて、協力会社に依頼することもありますが、ほぼすべてのタッチポイントに関わります。
体制が上手く機能している理由は、各ブランドにおいて、各本部のスタッフで構成し、ブランドマネージャーとブランドディレクターが存在することです。ブランドマネージャーがマーケティング/セールスの観点で、ブランドディレクターがブランディング観点でブランドチームに集まった各本部のスタッフとともに、積極的に意見を交わすことで、ブランドの世界観とセールスのバランスを保ちながら運用することができています。
――コロナ禍にともない、タッチポイントの移行・変更を行った部分はありますか。
オンライン・オフラインで数多くのタッチポイントを持てているので、そこを変えるというよりは発信するメッセージを変えたり、状況に沿ったコンテンツづくり・ブランドアクションを意識するようになりました。
たとえば、おうち時間を楽しんでもらえるようガーデニングに関するコンテンツや「BOTANISTcafé」で人気のドリンクメニューのレシピを公開するなど。広告関連では、街中のバス停に掲出したクリエイティブに「STAYPOSITIVE」という言葉を付け加えました。
あとはコロナ禍で逆境に立たされた業界への支援として、BOTANISTのホワイトラベルデザインを限定発売して、その収益を看護協会に寄付したり、ロスフラワーを買い取り配布して花木産業をサポートしたり、スクリーンプリントのTシャツを手掛ける「VEDAINK」ブランドではチャリティTシャツを通じてライブハウスへの寄付活動を行ったり、CHILLOUTで時短営業飲食店のシャッターをシャッターアドとしてサポートしたりと、色々な方面から社会に自分達が貢献できることは何かを考え実行してきたのですが、これらは、社員の積極的な姿勢から生まれました。
――最後に、ブランドの観点で今後注力していきたいことがあればお話しください。
良くも悪くもコロナを経験したことで、人との関わり方や時間の使い方が変化し、その場所、その瞬間でしか味わえないものの希少性が高まりました。その流れを受けて、フラッグシップショップをはじめリアルなタッチポイントでは、その場所にしかない価値を作っていくことが必要になると考えています。
一方デジタルでは、よりUXを高めること、ライブコマース、VRなどデジタルの強みを活かしたコンテンツで新しいブランド体験の提供をしていき、それぞれのタッチポイントでしか体験できない表現を展開していきたいですね。
I-neとしてはこの先も変わらずCOHの連鎖を広げていくためのアクションを行っていきますが、今後はより一層「ブランドジャーナリズム」の視点を持つことが重要だと感じています。
もちろんプロダクト自体を訴求するための情報発信、広告配信も必要ですが、それ以上にブランドの考えや想い、より良い未来に向けてどういうアクションをしているかを各媒体で発信していくこと。プロダクト、サービス、プロモーション、すべてのタッチポイントでCOHなマインドをベースに、様々な表現方法を追求し、幅広い層の方々に、ポジティブなインスピレーションを与え合い、より良い時代創りに貢献していければと思います。
