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社内の土壌を整えた後、MAを導入

――まずはマーケティングの土壌を整える必要があったということですが、では保坂さんが一番最初に行ったことは?

 ウェブ広告は運用していたので、ホームページへの訪問はある程度ありました。しかし、製品ページに来ている人はほとんどいませんでした。そこで、どのような検索ワードでホームページに来ているのかを調べてみると、「製品カテゴリ名」など我々が取りたいワードから来ている人がほとんどいないことがわかりました。そこでまずは、当社の製品を求めている顕在層に情報を届けるため、SEO施策に取り掛かりました。

 実際には他にもたくさんの課題が乱立している状態でしたが、人が少ない中でできることには限界があります。最初はクイックウィンを積み重ねなければならないと思い、当時運用していたウェブ広告もすべてストップし、SEO施策に集中しました。施策のスタートにあわせて、PDCAを回しやすくするためにデザイナーを増やしてもらい、小さなチームを作りました。試行錯誤しながら進めた結果、1年間でサイト内における顕在層の割合が170%に、検索結果で10位圏内に入る主要キーワードが220%に増加しました。

――MA導入の前段階で行ったこととして、他部署との連携があります。具体的には、どういったことを行われたのですか?

 人を巻き込む時は、寄り添う・手伝うという姿勢が大事です。コロナ禍で営業代理店が直接クリニックや薬局に営業に行けなくなったり、展示会などのイベントができなくなったりしていた時は、動画で見せられる営業資料を作成するなどのサポートをしました。私達がゼロからすべて作成してはダメで、やはり実際に利用する側の営業や営業代理店の方も巻き込んで一緒に作成することが重要ですね。他にも、営業が配布していたチラシの効果を数字で見られるようにQRコードを掲載して、そこからの流入を測定したこともありました。定量的なデータを示すことで信頼感が得られ、そこからデジタルマーケティングに対する要望が営業からどんどん来るようになりました。

 マーケティング=コストを使うだけという概念を払拭したい、売り上げへの貢献を可視化したいという目標は最初から掲げていました。実現までにはもう少し時間がかかりそうですが、徐々にマーケティングに対する社内の認識が変わっているという実感はあります。

――変革をスタートして約1年半後、社内の土壌が整ったタイミングでMAを導入し、インサイドセールスを立ち上げられたんですね。

 はい、MAの導入・運用と同時にウェブ広告も再開しました。メディコムの商品は、古くから地域に根差した代理店を介して販売やサポートを行ってきたため、顧客とのコミュニケーションの情報が各代理店に個別に点在している状態でした。MAは、顧客との接点を増やし、解像度を上げていくという構想のもと運用を開始しました。リードを増やすために、このタイミングでウェブセミナーやホワイトペーパーなどのコンバージョンポイントも一気に増やしています。インサイドセールスがそれらのコンテンツへのフィードバックを直接聞くことで、顧客のニーズにリアルに触れることができるようになりました。

 そうすると、やはりマーケティング、インサイドセールス、営業で衝突することも出てきます。リードの質やマーケティング施策の効果などについては、インサイドセールスと都度議論し合いながら進めています。

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変革期ならではのおもしろさがある

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/01 16:21 https://markezine.jp/article/detail/37309

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