SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

特集:データ活用の新常識

事業会社マーケターに聞く、データ活用の今

【ライフル】ユーザーを理解した本質的なコミュニケーションで勝負を

一連の変化は、マーケターの岐路になる

――個人情報保護法の改正施行、Cookie規制などデータ活用に関する潮流をどう受け止めていますか。

 はじめに、時流としては歓迎しています。「Web広告が自分のことを知り過ぎていて気持ち悪い」という世論が根強くありながらも、生活者側に選択の余地がないことに疑問を感じていました。私自身も生活者として、不快なWeb広告から解放されたい。今起きている環境の変化が、その第一歩になればよいと思っています。

 プロモーションの責任者の立場からすると、デジタルマーケティング担当者がマーケターとして進化するか、はたまた退化するか。その重要な岐路になると捉えています。今までは、広告掲載面を広げたり絞ったりしてCPAを押し下げることが主題になっていました。しかし、これからは面のコントロールだけに頼れません。運用による面の最適化を考える以前に、どんなインサイトがあるか、どんなクリエイティブが刺さるのか? という想像力とディレクション力が必要になります。

 その結果、これまでテレビCMなどのマスプロモーションと、デジタル広告運用の2つの業務は、時間の使い方が決定的に違っていましたが、徐々にその差分がなくなっていくだろうと考えています。アドテクノロジーという手段に頼らず、コミュニケーションの本質のところで勝負しなければならない。その意味で、人材の評価軸も大きく変わるでしょう。

より本質的なコミュニケーションへ

――今後データを活用したマーケティングを推進する上で、大事にすべきと考える点はなんでしょうか。

 第一は、ユーザー理解です。これまでデジタル広告の運用においては、ユーザー理解というプロセスにあまり時間をかけず、施策の効果検証とターゲティングというタスクばかりに注力する傾向がありました。これからは、ユーザーの心に刺さる広告コミュニケーションを打ち立てるためのユーザー理解の土台として、より広範囲かつ丁寧なデータ活用が必要になります。そのために、今まであまり目を向けていなかったであろうCRMや店舗接客、CSなどのデータも読み解いていかなければいけません。

 次に、データをAIに食わせる、AIセントリックなデータ活用です。媒体型の提供する広告配信の最適化機能は、データ保護規制とは矛盾するように進化を続けていくでしょう。人手による運用を必要としない方向性への進化には迎合するしかありません。ただし、データ提供の判断には深く注意しています。過去にDSPが登場した時、先行者メリットを享受すべく積極的に投資をしましたが、その試行錯誤(学習の最適化)の恩恵は、後発企業が受けました。データ提供によって媒体側のAIを育てるということは、一歩引いて、慎重に吟味しなければならないと考えています。

株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部 マーケティングコミュニケーション部 副部長 菅野勇太氏

株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部
マーケティングコミュニケーション部

副部長 菅野勇太氏

 2008年に株式会社ネクスト(現・株式会社LIFULL)入社。以来「LIFULL HOME'S」のBtoCマーケティングに従事。現在はブランディング・アクイジション・CRM・OMOなどのコミュニケーション戦略を統括。2016年より百様株式会社を創業し、兼業でファウンダーを務める。

 

【リクルート】ルールが未整備な領域も未来を想像して、先回りで対応

未整備でもどうするか考えるのが仕事

――個人情報保護法の改正施行、Cookie規制などデータ活用に関する潮流をどう受け止めていますか。

 法や規制の変化は、技術やビジネスの変化より常に遅れます。遅いことを非難しているわけではなくて、ルールは慎重に検討すべきなので遅れて当然だと思っています。変化する市場に身を置くビジネスパーソンやマーケターは、ルール整備が追い付いていない中でどうするかを考えること自体が仕事だと受け止めています。

 ルールを遵守していくことはもちろん、ルール未整備な領域においても未来を想像し先回りして対応する。難しいですけれど、「対応するのが当たり前」と志は高く持って知恵を絞り工夫を凝らしているところです。

データ活用の透明性を高める取り組みを

――今後データを活用したマーケティングを推進する上で、大事にすべきと考える点はなんでしょうか。

 「この企業なら活用していても安心」とユーザーの皆様に思っていただけることが大事です。ただどこまで何をすればそういう状態になれるのか、正解がなくとても難しい。まずはデータをどのように活用しているのかといった透明性を担保し、ユーザーの皆様にご納得いただくことがその第一歩だと考えています。

 リクルートでは、2021年2月から「プライバシーセンター」を公開し、データの利活用についての説明を開始しました。社内では、ガイドライン整備、レビュー強化、勉強会、テストなどのアップデートを進めています。

株式会社リクルート 執行役員 塩見直輔氏

株式会社リクルート 執行役員 塩見直輔氏

 1980年生まれ。出版社での編集職から、2007年にリクルートに中途入社。2013年に『タブルーム』立ち上げ。2014年にリクルートライフスタイル執行役員、2017年にリクルートテクノロジーズ執行役員を経て、2019年にリクルート執行役員に就任。マーケティングとプロデクトデザインを統括する。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
特集:データ活用の新常識連載記事一覧

もっと読む

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/11/11 13:56 https://markezine.jp/article/detail/37569

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング