※本記事は、2021年10月25日刊行の定期誌『MarkeZine』70号に掲載したものです。
若手の人材が多数活躍されているアスクル。人材育成・スキル開発の仕組みがあるのでしょうか?
アスクル株式会社LOHACO 事業本部 副本部長 兼
ECマーケティングディレクター 兼 ビジネスプランニング統括部長 成松岳志氏2007年アスクル入社。オフィス向け通販サイト「ASKUL」のCRM、プロモーション、新規サービス企画担当を経て、個人向け日用品EC「LOHACO」立ち上げに参画。現在は、LOHACO事業の副部長として、販売、マーケティング、事業企画、データ分析、システム開発などを担当。
私が副本部長を務めるアスクルのBtoC事業「LOHACO」でも、例にもれず人材不足は課題としてあがっており、若手の育成やスキル・キャリアの開発をどのように進めていくか、ずっと模索し続けている状態です。そうした中で、各人のトレーニングの制度は、試行錯誤をしながらより良い形を作っています。
ことデータ分析のスキルに関して言うと、今LOHACOの業務においてデータ分析と関わらなくていい職種はありません。KGI、KPIはすべてデータを基に設計されており、どの部門に配属されても、全体のKGIから分解されたどこの部分のKPIを担当しているかを理解している必要があります。なぜ目標に到達していないのか、到達するためにはどうすればいいのかを考える上で、データ分析が不可欠な環境になっているのです。
ですので、マーケティングに限らずどの職種に対しても、データ分析のトレーニングの環境が準備されています。ちょうど今日この後もZoomでのトレーニングが予定されていて、トレーナーは新卒3年目の社員です。90人程のメンバーに向けて、LOHACO本店のリニューアルに際して出てきた、新しいデータの定義や活用法についてレクチャーがあります。こうした社内の勉強会はこの他にも多数開催されています。
LOHACOの事業が始まってから5年目くらいまでは、新卒で入社した方には、データ分析と改善を繰り返すグロースハックのような活動だけに集中する期間を設けていました。アクセスログを解析してもらい、どこにどんな原因があるのか、さらにどう改善すればいいかを考えて実際にやってみて、効果検証をする。データを使ってPDCAを回すという経験をしてもらってから、各部署に配属されていくというプロセスを踏んでいました。
ですが、アクセスログが分析できても顧客体験の全体像をつかめるわけではありません。データベースから直接抽出してデータを分析することが各部署で必須になってきており、それに合わせて研修の内容をアップデートさせてきました。今年からは新卒の研修プログラムに、「SQLを書いて顧客データを分析する」というところまでが組み込まれています。キャリアの入り口のところで、データを活用してハンドリングしていく技術が基礎素養の1つとして組み込まれているのです。