良い定義づけが分析の精度を上げる
ニーズが確定し、手元のデータと社内スキルを鑑みて、最終的にフィットするツールを選定する訳だが、ソリューションにはBIごとに特徴がある。
たとえば管理レポートや帳票にまとめる、エンドユーザーが自由な観点で簡単にいろんな角度でデータを見たい場合、100項目ぐらいから有効なルールやパターンを見つけてデータから要因解析したい場合など、それらはAIの力を借りて拡張分析を行っていくこととなる。
Pythonやオープンソースで統計解析を使って予測モデルを作る方法、他にはデータ基盤、機械学習の全自動化やツール自体の開発など方法やツールは様々ある。ただ、ツールを買ったら戦略を考えてくれる訳ではない。
ツールは、データを入力すると入力した通り解析する。異なる予測推測値を出してくれることもあるが、「そこは使い方の問題」だと東氏は言った。
正確なデータを導き出すには、良い課題を定義し、良い仮説を立てるノウハウが必要だ。ゼロから構築することは大変だが、専門業種、業界のコンサル会社やベンダー各社は、データと業界、ニーズで予測値と施策、その結果がおおよそ想定できる。
「このツールを買ったら全部できますというのは、たいてい何もできません。だからこそ良い課題を定義する概念を持ち、それに対し適切なアドバイスができるパートナー選びが重要なのです」(東氏)
自走を前提としたツールの活用で真のDXを目指す
ブレインパッドは、ニーズ・データ・目的に沿ったソリューション、システムを提案し、あらゆるフェーズでのデータ活用を支援している。中でも「Rtoaster(アールトースター)」は、データの収集・統合・分析・可視化・アクションまでをワンストップで提供している。企業のデータドリブンなマーケティング活動の効率化・成果創出を実現するトータルソリューションだ。
イスラエル発祥のバス&ボディケアコスメブランドSABONは、店舗接客の感覚を大切にし、消費者の趣味を理解した商品やサービスの提供を模索していた。そんな中、店舗接客時に「お客様は商品の『香り』を軸に商品を購入する傾向がある」というニーズをつかむことができた。
この施策の精度を高めるため、顧客の購買起因となる要因の「香り」を特定しパーソナライズを実施。Eコマースサイトの商品詳細ページでも「香り」に基づいたレコメンドパターンを明示的に行った。その結果、単なるおすすめよりも30%高いクリック率を獲得することに成功した。
さらにトップページをリニューアルし、以前と比べ41%もCVRを向上したという。また、顧客が初訪問でロイヤルティが高くない場合は、SABONの売れ筋商品のランキングを提示することで、閲覧やコンバージョンが30%上がった。
またアパレルメーカーのバロックジャパンリミテッドは、バラバラだったツールの一本化を実施した。Rtoasterで運用体制、費用の最適化を実現し、会員別にパーソナライズが可能なデータ基盤を構築。ブランド横断施策のため店舗とECのデータ基盤を整備し、他部門を巻き込んだ施策とコミュニケーションのため共通言語の整備を行った。
「DXはただツールを導入するのではなく、自走を前提としたとITやデータの活用が求められます。データのプロフェッショナルとともにツールを連携させ、施策のパーソナライズと自動化を実現させていくことが成功のカギとなります」と東氏は同セッションを締めくくった。