“タムパ志向”の強い若年層はSNSで欲しいものを探し短時間で購入を決断
調査の結果、全体の3人に1人が「後払い決済サービスの利用経験あり」と回答。特に若年層の利用率が高く、20~30代が約7割を占めた。

では、後払い決済サービスの利用率が高い20~30代は、消費行動においてどのような特徴を持っているのか。彼らにモノ・サービスの購入を決断するまでの時間を訊ねたところ、3,000円未満であれば半数以上が30分以内、さらに約4人に1人が5分以内と、いずれも短時間で決断していることがわかった。

モノ・サービスを「自分が欲しいと感じる時に購入する」と回答した20~30代は67.2%。その理由として「いち早く利用したいから」「時間が経つと欲しいものが購入できなくなるかもしれないから」という時間軸を意識した回答が上位を占めた。この結果について、牛窪氏は次のように解説する。
「若年層は、SNS上でハッシュタグを用いて欲しいものを探す傾向があります。欲しいものが決まっていないからこそ『いいな』と思えるものに出会った時の喜びは大きく、“運命”を感じるようです。運命のものを他者に奪われたくないという心理が、スピーディーな決断の背景にあるのだと思います」(牛窪氏)

実際、20~30代がSNSを見て欲しいと思うモノ・サービスと出会う割合は49.4%と非常に高く、40~50代の2倍以上だった。さらに、SNSで欲しいモノ・サービスを探す理由を訊ねたところ、20~30代では「いつでも探すことができるから」「モノ・サービスの種類が豊富だから」という回答が上位に。牛窪氏はこの結果をZ世代の消費特性から次のように紐解いた。

「Z世代は、効率よく短時間で買い物を済ませたいという“タムパ(タイムパフォーマンス/時間対効果)志向”が強い世代なので、好きな時に大量の情報からタグで欲しいものを探すことができるSNSとの親和性は高いと言えます」(牛窪氏)
家計をスマホで管理したい若年層
Z世代のタムパ志向について、山本氏は「メルカリの影響もあるのでは」と指摘した。

「商品の購入を検討する際に『いざとなればメルカリで売ればよい』という選択肢があれば素早く決断できますよね。アプリなら売値の相場をその場で調べられますし、リセールバリューがあるとわかれば、たとえ高額な商品でも思い切って購入できるのではないでしょうか」(山本氏)
調査では、20~30代の決済手段に対する考え方についても深掘り。クレジットカードを利用する時に課題だと感じる点について「ついお金を使いすぎてしまう」と回答した人は約半数を占めた。また、約4人に1人が「利用金額を把握しにくい」と回答し、支払いの管理に不安を覚える声が多く上がった。

一方、後払い決済サービスを利用する理由は「支払うタイミングを調整できるから(60.9%)」がトップに。2位も「利用金額が把握しやすいから」と、管理のしやすさにメリットを感じる回答が続いた。
「若年層には『全てをスマホで管理したい』というニーズがあります。今回の調査では、20代の約4割がアプリで家計簿をつけているという結果が出ました。コロナ禍でキャッシュレス化が進んだ今、支払い手段が多様化し、ますます何にいくら使ったかがわかりにくくなっています。収支管理がしやすい後払い決済サービスは、若年層の安心につながっているのかもしれません」(牛窪氏)