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コロナに負けないブランドの作り方

一つの“推し”で年商3億円。「ケンズカフェ東京」氏家シェフが語る、ブランドを作る看板商品の作り方


どこにも負けない看板商品を厳選する

 お客様の声から看板商品は生まれ、ブランドを作り上げていく。そんなお話をしてきました。ここからは「看板商品をどう磨き上げていくか?」についてお話しします。

 私はビジネスにおいて「凡庸は悪」と考えています。同じようなお店や会社がある中、ある商品やサービスが集中的に選ばれているとしたら、そこに「当たり前ではない何か」があるからです。であれば、目指すべきは当たり前を超えたレベル。つまりダントツに良いものを目指すべきではないでしょうか。

 その点において、『ケンズカフェ東京』のガトーショコラは凡庸の対極と言っていいでしょう。もともと本場フランス並みのガトーショコラが日本になかったことから誕生させたケーキです。当時、日本の洋菓子店で作られていたガトーショコラといえば、安価なチョコレートを使ったものばかり。そんな中、最高級のチョコレートとバターを使ったガトーショコラは評判となり、リピーターが続出しました。専門店となって以降も材料を何度も見直し、レベルアップ。ちなみに現在使っているチョコレートは、世界最高峰のチョコレートメーカーであるイタリア・ドモーリ社とフランス・ヴァローナ社がそれぞれ『ケンズカフェ東京』のために開発したオリジナル製品です。

「絶対に美味しいはず」という期待を作る

 箱や手提げ袋もほかのスイーツ店とは一線を画し、高級ジュエリーのギフトを思わせるデザインにしました。海外のラグジュアリーブランドを参考にして「絶対に美味しいはず」と期待させるパッケージを追及したのです。

高級感のあるパッケージに
高級感のあるパッケージに

 サイズや価格も同様です。手のひらにのるサイズで税込3,000円。今でこそ類似商品が出回り、似たような仕様を見かけるようになりましたが、こちらも一般的に考えれば「ありえない」設定です。実は3度の値上げを経ていますが、それの戦略については次回お話しします。

 このように看板商品を研ぎ澄ませた結果、「どんな味か食べてみたい」と話題を集め、著名人の方々がテレビで紹介してくれるようになりました。ひしめく競合の中で小さな個人店や企業が抜きん出るには、中途半端ではダメです。やるなら圧倒的に突き抜ける。未開拓の頂上へ、最初に旗を立てるのです。そうすれば、たとえ類似品が出てきたところで、あくまでオリジナルは自分の商品だけ。それこそが、ブランドがもつ揺るぎない信頼であり、強みなのです。もちろん商標登録も並行して進めます。

 あなたが手がけているビジネスにも、磨けば光る原石があるはずです。お客様の声に耳をすませて商品を絞り込み、圧倒的な差を生む看板商品づくりへと、持てる力を集中させましょう。

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看板商品のデータを徹底的に集める

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この記事の著者

氏家 健治(ウジイエ ケンジ)

ケンズカフェ東京 オーナーシェフ

1998年に東京・新宿御苑前にイタリアンレストラン「ケンズカフェ」を開店。経営危機に直面しながらも、ガトーショコラのみの販売に転換。品質の高さを追求したガトーショコラと取捨選択を極めた経営戦略で業績をV字回復させる。2015年のファミリーマートとのコラボレーションを皮切りに、多...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/13 10:47 https://markezine.jp/article/detail/37897

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