マーケターのスキルを可視化する「スキルトラッカー」
MZ:伊藤さんのお話にあった課題を解決するために、現在I-neで導入・運用されているのが、「グロースX マーケティングスキルトラッカーβ版(以下、スキルトラッカー)」です。これは、どのようなサービスなのでしょうか?
津下本:スキルトラッカーは、マーケターのスキルを測定して可視化し、スキルアップの指標として活用いただくほか、人材配置の意思決定支援までをワンストップで提供するソリューションです。マーケターに必要な重要スキル50以上を定義し、経験と知識の2軸を用いた独自のロジックで数値化しています。
MZ:経験だけでなく、知識も加味してスコアリングするんですね。
津下本:はい。マーケティングはチームプレーなので共通言語があり、そして、チームメイトが取り組んでいる施策を理解できることも重要です。たとえば、Instagram運用の経験があれば、TikTok運用の経験がなくても目指すゴールはイメージできますし、本質的なところでのサポートもできますよね。ですので、知識があることも評価しています。
MZ:マーケターのスキルは、企業ごとに求められる内容もレベルも異なります。スキルトラッカーは、どのような業種に向いていますか。
津下本:業種や業態は問いません。私たちが定義したベーシックなスキルをベースに、クライアントの業種や業務内容に合わせたアセスメントスキルのカスタマイズが可能です。実際に、現在導入を進めている4社はすべて業種も業態も異なります。導入時のヒアリングで目指すマーケティングのゴールをうかがい、定義するスキルをご提案しています。
人材のポテンシャルを十分に活かし切れているか?
MZ:I-neでは、スキルトラッカーをどのようにカスタマイズされたのでしょうか?
伊藤:まずは、D2Cブランドを立ち上げる上で必要だと思うスキルを30項目ほど作りました。それから、スキルトラッカーのベーシックなスキルとすり合わせ、「ダイレクトマーケターに必要なスキルは何か?」と、津下本さんと議論していきました。
津下本:たとえば、重要スキルの中に「ECモールビジネスの理解」という項目があるのですが、I-neさんは国内トップレベルのモール運用をされています。ですので、「このスキルは配点を高くしてみてはいかがでしょう?」とご提案しました。また、事業計画書の作り方やP/Lの読み方などもスキル項目に入れています。
MZ:上流から下流まで、幅広いスキルが網羅されているのですね。
津下本:そうですね。もともとスキルトラッカーは、「マーケターのスキルを可視化したい」というご要望を受けて開発に着手したものですが、その背景には社内でタレントマネジメントが充分にできていないという課題もありました。特に中途採用が多い組織では、マーケターの潜在的なポテンシャルが活かされずに機会損失が起きているケースも少なくありません。そこで、スキルトラッカーには、マーケター個人のスキルやキャリア設計に合った仕事のアサイン、組織全体のパフォーマンスを高める人材配置に参考となる要素も盛り込んでいます。