継続的に企画を展開する「40のいいこと!?」キャンペーン
MarkeZine編集部(以下、MZ):ファミリーマートの40周年キャンペーン「40のいいこと!?」は、生活者の価値観やライフスタイルが大きく変わりつつある最中に実施されました。足立さん、この状況下でマーケターが生活者とコミュニケーションを図るにあたり、何か変化はありましたか?
足立:根本的な生活者の態度、購買やその他の欲求は、僕はほぼ変わっていないと思います。一方でマーケティングの視点では、コロナ禍の影響というよりネットが登場して以来ずっとメディアの分散化が進み、ますます加速しているので、どのメディアでコミュニケーションをしていくかはよく考える必要があります。
MZ:では、今回のキャンペーンについてうかがいます。“40”といっても、最終的に累計企画数は100を超えていましたね。
足立:はい、これは想定内です。お客様にとっては、周年の年数なんてあまり関係ありませんから。
ただ、周年自体はお客様にアプローチするとか、いろんな仕掛けをするきっかけにはなりますよね。多くのメーカーさんとのコラボ企画にもつながりましたし、社内の士気を高める点でも役立っています。そして、昨年4月から本年1月まで、大雨の影響を受けた昨年8月を除いて、売上の前年比が100%を上回るなど、単なる話題性で終わらず、ビジネスの結果が得られたことには手応えがありました。
MZ:今回、たくさんの企画の中にはファミリーマートさん社内で進められたものや、電通さん以外のエージェンシーが担当されたものもあったそうですね。そもそも、どういった座組みだったのですか?
足立:最初から、1社のエージェンシーとのみ組むつもりはありませんでした。電通さんに周年企画の提案をお願いした段階で、別のエージェンシーと先々の大きなキャンペーンを進めていましたし。電通さんには、一発の企画で瞬間風速の最大化を狙うのではなく、複数の企画を継続的に出していくという大枠を御提案頂いたうえで、全体を俯瞰する役割として、かつ個別の企画の実施会社としても入って頂きました。
100に上る企画に統一感を持たせる体制に
MZ:年間を通して、周年企画の傘に入るものに関しては、他社の主導する企画も共有していたということですか?
加藤:そうですね。毎週の定例ミーティングを設けて、すべての企画を共有させて頂きながら、私たちも自主提案をいくつも重ねていったという形です。
他社さんの企画に直接関わることはありませんでしたが、たとえば「40のいいこと!?」として発表するならもっとこうしたほうがよいのでは、話題になるのではといった部分を、常に話し合っていました。
本田:いつも足立さんがおっしゃっていることですが、チームでずっと気をつけていたのは、生活者がどんなことを考え、感じているかを常に深掘りして把握することです。外部の視点で事業を見させて頂いている視点と、自分自身の生活者の視点を行き来しながら、ファミマに何が期待されているかを徹底して皆で検討しました。
MZ:そうした座組みで、他社の企画も含めて全体の統一感や整合性が出るようにしていったのですね。では、40周年企画に入る時点でのファミリーマートの課題と、それに基づいてどうコンセプトを考えられたのかをうかがえますか?
足立:それまでのファミマの課題は、一言で言うと特徴が弱かった。今も途上ではありますが、お客様の印象に残る特徴をいくつも作らないといけないと考えました。そこで、次の5つの方向性を言語化して打ち出しました。