BDRの精度を上げるために活用したもの
外部委託したBDRだが、どのようにして新規顧客開拓の精度を磨いていったのだろうか?
富家氏が活用したのが約150万社の企業データベースを持つ「FORCAS」だ。仮説として立てたターゲットの課題や拠点数、業種といった条件をもとにデータベースから企業を抽出し、パートナーのインサイドセールスに共有した。

アウトバウンドコールは、商談獲得だけを目的にせず、サービスへのニーズや、顧客のインサイトを収集することを目的とした。そこから商談につながると、営業が対応し商談情報をSales Cloudに入力する。
BDRと営業からの情報がマーケティングチームとFORCASのカスタマーサクセスチームにフィードバックされ、ターゲットやシナリオに反映するという流れでPDCAを回していった。
リッチ化させたデータで的確なリード評価
「FORCASでやりたかったことは、データをリッチ化させてターゲットにアプローチする優先順位付けをすることでした」(富家氏)
ターゲットにアプローチするためには、ハウスリストの全数から本当に自分たちの顧客になるリードはどれかを判断し(リードクオリファイ)、今すぐフォローすべき相手は誰かを決定する必要がある。その判断にFORCASの企業データとPardotの行動データを掛け合わせたという。
具体的にはPardotで行動の重み付け(スコアリング)と会社規模や部署などによる評価(グレーディング)を行う。その際、グレーティングにFORCASのデータが活用された。
「営業とマーケとインサイドで握った注力企業=Tierアカウントの場合は、グレードを1段階引き上げる。だから優先的にフォローしましょう、といった重み付けに使用しています」(富家氏)
たとえばウェビナー後に営業が直接フォローするリードは営業に引き渡し、残りはインサイドセールスがすべてフォローするような場合でも、当日中に電話する、1週間後に電話する、メールだけでフォローする、などと対応を変えることでリソースを維持しながら迅速な対応が実現できる。
リードの条件はセールスと話し合って明確に
一方で、セールスが思うリードの質と、マーケティングが思うリードの質にはズレが生じるものだ。そこは如何にすり合わせるべきだろうか?
「前提としてリードやトスアップする商談の条件を明確にする必要があります。その過程で議論をして合意することが大事ですね」富家氏は語る。
加えて、条件の除外設定も重要だという。たとえば事業規模が500億円以上のリードしかフォローしないと決めたとする。では490億円の場合はどうすればいいか? 事業規模では条件に満たないが、相手が役員の場合はフォローすべきか? どのような場合に例外の対応をするかを話し合うことが大切だ。
「お客様との関係もあるので、最後はインサイドセールスの肌感覚でいいと思います。ルールではなく、ガイドラインに近い運用がいいのではないでしょうか」(富家氏)