大切なメッセージの「配信先」まで意識しているか?
昨今、いろいろなメディアでマーケティングにおける顧客理解の重要性が取り上げられている。すべてのスタートポイントとして顧客理解があり、その理解を基にそれぞれの企業で定義したターゲット顧客に届けるメッセージやコンテンツが開発され、最終的にいろいろなマーケティングチャネルを通じてそのメッセージが届けられる。そして企業が設定するマーケティングゴールを達成することが期待されている。
おそらくマーケティング担当者は、この顧客分析からメッセージ開発までのプロセスに、膨大な時間を費やしているのではないだろうか。そうしたプロセスにおいて開発されたブランドのメッセージやコンテンツは、デジタル広告などのチャネルを通じて消費者に届けられるが、もしそのブランドのメッセージが、アダルトサイトやテロリズムなどのブランドにとって不適切なサイトやアプリなどに配信されているとしたらどうだろう。広告費の無駄であるばかりでなく、そのブランドにとっての価値毀損であり、せっかく膨大な時間をかけて開発されたメッセージやコンテンツが消費者に届かず、本来のマーケティングのゴールが達成できないことになる。
ブランドセーフティは“必要最低限”のもの
マーケティング担当者であれば、「アドベリフィケーション(以下、アドベリ)」という言葉は聞いたことがあるだろう。そのアドベリの大きな指標の一つに「ブランドセーフティ」という要素がある。2021年4月に設立されたデジタル広告品質の認証団体である一般社団法人 デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)では、ブランドセーフティを「広告掲載先の品質確保による広告主ブランドの安全性のこと」と定義している。
簡単に言えば、どの広告主ブランドにとっても、一般的に不適切と判断されるサイトやアプリなどからブランドを「守る」ために活用されるソリューションである。ブランドにとって安全ではないコンテンツとしては、前述のテロリズムや、アダルトコンテンツなどの過激なグラフィックや写真、著作権侵害、マルウェア、フィッシング、スパムなどが含まれる。こうしたブランドセーフティではない環境を回避する方法としては、一般的にブロックリストによる「守り」を重視した手法がもっとも多くとられる。「ブランドセーフティ」は、広告主にとっては、最低限必要となるものと言える。
では、ブランドセーフティさえ対策していれば大丈夫なのか? より細かく配信面のニュアンスを理解し、適切な場所、コンテンツ、コンテキストを選んで広告を配信する「攻め」の取り組みを始めている企業もある。