Twitterを活用した市場調査に向け「KAIZODE」を選定
MZ:ニチレイでは、どのような目的でKAIZODEを利用されたのでしょうか?
関屋:もともとは新規事業開発の領域で、Twitter上の声を収集して新しい事業のシーズを見つけたり、そのシーズに対して市場のリアルな本音を分析したりする狙いで利用を決めました。ですが、せっかく利用するのであれば、すでにローンチしていて、すぐに役立てられる分野がいいだろうということで、ミーニューで利用することになりました。
MZ:では、KAIZODEを活用してどのようなリサーチを行われてきたかご紹介いただけますか?
関屋:現在の「me:new」のユーザー数では「me:new」のキーワード単体で十分な声を集めきれなかったので、まずは献立に関する不満や悩みについてリサーチすることにしました。一般的に「献立を考えるのは大変」と言われていますが、具体的にどのような不があるのかを調査しようということになったのです。
MZ:調査の結果、どのような示唆が得られましたか?
大矢:今回の調査では、2022年3月1~31日の1ヵ月で「献立に関する困りごと/不満」に関する言及があったTwitter投稿の1,500件を抽出しました。さらにこの中から、「me:new」のメインターゲットである「子どもを持つ親」と推定できる一般ユーザーの投稿を抽出し、インサイトを探索しました。
具体的には、「赤ちゃん~離乳食の子どもを抱える親」「2~6歳の子どもを抱える親「小学生以上の子どもを抱える親」「料理するパパ」「その他」という5つの軸で分析を行っています。子供の年齢とユーザーの性別を軸にグループ分けし、特徴を整理することで、献立に関する不の背景を理解し、解決策の仮説に対する解像度を上げる狙いです。
こちらは実際の調査レポートの一部なのですが、同じ「献立に関する不」でも子どもの年齢によってさまざまな特性があることがわかりました。たとえば、赤ちゃんを子育て中の親の場合は、「とにかく食べてくれない」という不が最も大きく、続いて「親のメニューと赤ちゃんの離乳食メニューを別々に考えるのが大変」「大人の献立と同じ食材で離乳食の献立を考えたい」などの不もありました。これが幼児を育てる親になると、「食べてくれない」よりも「子供が歩き回るようになり、世話をしながら料理をするのが大変」という不が強く出るようになります。さらに、「仕事に復帰したら献立を立てる時間がない」という声もあり、「仕事と育児の両立という観点でマーケティングメッセージを作ってもよいのでは」といった議論のきっかけにもなりました。
見たい・聞きたい声を拾ってしまうという、マーケターの性
MZ:抽出した投稿の一覧をただ見ていくのと、そこからさらに重み付けされた結果を見るのとでは、「インサイトを分析する」という観点で活用の可能性がぜんぜん違ってくると思います。これらの結果は、KAIZODEで「献立」などのキーワードを入力すると自動で出てくるのでしょうか。
大矢:今回の事例に関しては人手と機械と半々でレポートを抽出しています。2021年7月から、重み付けについてもすべて自動化し、性別や年齢などの特徴を機械学習で自動分類する機能をリリースする予定です。
関屋:マーケターは、どうしても自分が聞きたい声のほうを聞いてしまいがちなんですよね。「やっぱりそうだよね!」という声は入ってくるのですが、自分が思いもついていない声は見落としてしまう。そして、自分が見落とすような声や情報には、自分でWebやTwitterで検索をしてリサーチをかけている時にも絶対に出合うことはできません。その点、KAIZODEではAIによる自動処理でユーザーの声が抽出されるので、これまでだったら見落としていたものもしっかり拾うことができる。さらに、声の大きさに基づいて重み付けもされているので、サービス改善の必要性や重要度も考えることができると思っています。