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“優良顧客”よりも”ファンとの対等な関係作り”を。顧客視点でCRMの全体像を描くフレームワーク

ワークショップ事例:セレッソ大阪の場合

MZ:CRM戦略を立案するという目的は大前提として、組織内でこうした機会を設けること自体に大きな意味があるのですね。セレッソ大阪は、ファンマーケティングの王道をいかれているイメージですが、どのような課題があったのでしょうか?

多々良:スポーツマーケティングでは、スポンサー営業、PR・マーケティング、グッズの企画、イベントの企画運営など、多くのセクションで連携して動く必要があります。そんな中、全社で連携してファンマーケティングを進めていくのはなかなかに大変です。そのため、集客・グッズ展開・試合の演出などあらゆる面でクラブとして一貫した施策を打つのが難しいという課題が顕在化していました。また、経営層やマネジメント層にいる方々は、それぞれ自分の中に熱い思いや意思を持っていながらも、自己表現の機会が少ないという現場に対する課題をお持ちでした。

MZ:ワークショップを実施して、どのような変化があったのでしょうか?

多々良:現場層の自己表現の機会が少ないという課題がありましたが、実際にワークショップを行ってみると、想像以上に現場のみなさんから意見があがってきたのです。現在は、ワークショップであがった約50の施策案に優先順位をつけて、取り組みを始められています。さらに、目指すゴールやそこまでの過程を部門間を超えて共有できたことで、社内の協力体制が強固になったというお話しも聞いていますね。

 また、我々からはワークショップの議論をもとに「ファンをベースとした企画づくり」「単発施策と中長期施策を組み合わせた『全体構築』」「『ファンがファンを作るサイクル』を実現するためのKPI設計」という3つのポイントに絞り、具体的な改善方針も提示させていただきました。

MZ:ワークショップを行う際、その前段にある「顧客理解」をどれだけできているかが重要になってくると思います。こうした前段階の準備はどうされるのですか?

多々良:セレッソ大阪様のケースでは、ワークショップを行う前段で、顧客理解を目的としたファンアンケートを実施しました。この結果を、独自の研究で開発した「Societas(ソシエタス)」という顧客の価値観を理解するためのフレームワークを用いて分析し、3つのペルソナを作成した上でワークショップを行った形です。前段の顧客理解をどれだけ深くできているかで、ワークショップの質は大きく変わってくるので、こうした調査や分析は重要です。

人と企業が惹かれ合う。同じ世界観を目指す企業に並走したい

MZ:ファン作りは中長期的に取り組んでいくものだと思います。クライアント企業に対して御社はどのように並走されていかれるのか、展望を踏まえてお聞かせください。

多々良:2021年に再定義したビジョン・ミッションにしっかり向かっていきたいという思いが一番です。「人と企業が惹かれ合う」という価値観、世界観に共感し、一歩踏み出したいと思って下さったクライアント企業様に確実に貢献できるよう、自分たち自身もアップデートしていかなければと思います。

 弊社が提供する「Synergy!」をご利用中のお客様を支援していく中で、ファンと向き合い実際に施策を行っていくと、細かな課題がたくさん出てきます。そういった個別、具体の課題に対しても、ていねいにサポートしてきたいと思っています。

本記事では、CRMのあり方と「ワークショップ型戦略策定プログラム」の事例を通して、顧客視点での向き合いについて理解を促していただきました。続く2本目の記事では、「ファンマーケティング」について深掘りし、コンテンツの磨き方や届け方のポイントを具体的に解説いただきます。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/27 11:00 https://markezine.jp/article/detail/39326

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