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“優良顧客”よりも”ファンとの対等な関係作り”を。顧客視点でCRMの全体像を描くフレームワーク

「顧客視点」でCRM戦略の全体像を描くフレームワーク

MZ:シナジーマーケティングが提供する「ワークショップ型戦略策定プログラム」について詳しく教えてください。

多々良:このワークショップのスコープはクライアントにより様々ですが、たとえば顧客が商品・サービスを認知する前を起点とし、最終的に目指す顧客の姿をゴールとしたジャーニーを作っていきます。特徴は、自社のマーケ環境を独自プログラムに沿って要素分解し、整理していくことで、戦略実行に向けたスムーズな意思決定を可能にすること、そしてそのプロセスをチームで共有することでマーケティング戦略が機能する強固な体制作りを実現することです。

 よく、「3年以内に〇〇回以上商品を購入する」や「〇〇回以上購入して下さったら優良顧客とする」と数値で顧客を区切る会話を耳にしますが、ジャーニーの流れの中で、顧客の感情・心理変化を細かく問いかけていく。そうすることで、顧客視点の施策やメッセージが生まれ、顧客コミュニケーション全般にわたって変化が出てきます。結果としてこのワークショップは、CRM戦略の土台作りにもなっていると言えます。

「ワークショップ型戦略策定プログラム」では、最終的にCRM戦略をこのような1枚のダイアグラムに落とし込む
「ワークショップ型戦略策定プログラム」では、最終的にCRM戦略をこのような1枚のダイアグラムに落とし込む

MZ:一般的なカスタマージャーニーは横イチの直線で表しますが、このフレームワークでは2軸で表すのですね。

多々良:はい。横軸は「不可逆的なもの」と捉えます。たとえば、時間は一方向に進み、戻ることはありませんし、一度経験・体験した物事がお客様の中でなくなることもありませんよね。一方、縦軸は「ブランドとの距離感や好意度」を示します。これは、顧客によって上がったり下がったりすることがある前提です。ですので、縦軸の階段を順調に上っていく方もいれば、どこかで階段を一段降りる方もいる。その分岐のパターンもしっかり作っていきます。

ワークショップ事例:通販ブランドの雄「すっぽん小町」の場合

MZ:実際に、どのような企業がどのようにこの「ワークショップ型戦略策定プログラム」を取り入れているのか、教えていただけますか?

多々良:EC事業者であるていねい通販様とプロサッカークラブ・セレッソ大阪様の事例をご紹介したいと思います。

 ていねい通販様は「すっぽん小町」という商品を長く提供されており、これまでのマーケティング活動の中で、施策もコンテンツも精度の高いものを数多く積み上げていらっしゃいます。ですが、施策の幅が広がるほどに「なぜ、すっぽん小町の販促でこのような施策をやる必要があるのか?」と、関係会社や社内で理解が追い付かない部分も出てきていました。

 こうした課題を受け、社内外でCRM戦略の共通認識を高めたいというご要望があり「ワークショップ型戦略策定プログラム」を実施しました。CRM戦略の全体像を描くとともに、組織への戦略浸透も同時に行う狙いです。

MZ:ていねい通販は、どのようなダイアグラムを描かれたのですか?

多々良:ポイントは、ゴールの手前に「疲れや不安で埋まっていたお客様のキャパシティに余裕が生まれ、自分や周りに優しさを向けられるようになる」というステップを置いたことです。「すっぽん小町」を使い続けることで感じる体調変化ももちろんありますが、顧客の心理変容にしっかり着目できたことで、ブランドならではの表現になった。その結果、「ストレスがなく健康で、ていねい通販との接点が日常化している状態」というCRM戦略のゴールが定まりました。

 一連のワークショップを終えて、ていねい通販さんから挙がってきたのは「毎日隣で仕事をしている人たちが、こんな想いで施策を企画しているとは知らなかった」といった意見です。これらは、第三者を入れて、半強制的にでもこういった機会を設けなければ、見過ごされてしまう部分ですよね。各施策の背景を理解できると、部門間を通して施策に一貫性が生まれてくるので、こうした効果も感じていただけたと思っています。

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ワークショップ事例:セレッソ大阪の場合

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/27 11:00 https://markezine.jp/article/detail/39326

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