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特集:すごいBtoB企業がやっていること

会社全体で“共通言語”を持つことが第一歩 「BtoBマーケティングの偏差値」を上げるために必要なこと

 32年間にわたって日本のBtoBマーケティング分野をけん引してきたシンフォニーマーケティング代表取締役の庭山一郎氏。「日本企業がグローバル企業と肩を並べるには、マーケティング偏差値を上げていくことが必要」と訴え続けてきた庭山氏だが、なかなか日本企業のマーケティング力は向上しない。その原因と共に、マーケティング偏差値を上げるためにまず何が必要なのかを庭山氏に聞いた。

※本記事は、2022年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』81号に掲載したものです。

マーケティング部門は孤立している

——近年BtoBマーケティングへの注目が高まっています。その一方、日本企業のマーケティング力はグローバルで比較するとまだ弱く、後れを取っているという実情もあります。そこで30年以上BtoBマーケティング市場をけん引し、企業のマーケティング偏差値のアセスメントサービスを提供している庭山さんに、まずマーケティング偏差値が低いというのはどのような状態なのかおうかがいしたいと思います。

庭山:私がシンフォニーマーケティングを設立したのは32年前ですが、当時日本にBtoBマーケティング市場はありませんでした。そのため長らくは外資系のIT企業やハイテク企業のBtoBマーケティングのお手伝いをしていました。もちろんそれだけでなく、日本企業に対してもマーケティングの重要性を訴求したり、BtoBマーケティングを始めましょうと声をかけていたりしたんですけどね。

 それがリーマンショックを契機に、日本企業もにわかにマーケティングを始めるようになったのです。私の会社もこれまでの実績や企業への声がけが効いて、国内製造業からたくさんのお問い合わせをいただくこととなりました。なので日本のBtoBマーケティング元年はリーマンショックの年、2008年ごろだと考えています。そのころ、アーリーアダプターのBtoB企業がマーケティング部門を作ったり、担当者を置いたり、営業にいた販売推進や営業企画を独立組織にしたりする動きが活発になりました。もちろん私も喜びました。

 しかしその後、どういうことが起こったか。端的にいうと、マーケティング部門は孤立してしまったのです。

シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役/中央大学大学院ビジネススクール客員教授 庭山一郎(にわやま・いちろう)氏 1990年にシンフォニーマーケティングを設立。1997年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。海外のベンダーやエージェンシーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。
シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役/中央大学大学院ビジネススクール客員教授
庭山一郎(にわやま・いちろう)氏

1990年にシンフォニーマーケティングを設立。1997年よりBtoBにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。海外のベンダーやエージェンシーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。

——それはなぜでしょう?

庭山:誰もマーケティングを知らなかったのです。だから“共通言語”がない。そもそも、経営者がいう「マーケティング」と現場が考える「マーケティング」が違いますし、デマンド創出がマーケティングという人もいれば、営業からすると「ブランディング」になって、研究開発の人たちは「リサーチ」だと捉えるんですよ。

 また、日本企業の営業担当者はマーケティング部門と一緒に仕事をした経験がないので、「俺の客に対して勝手に何度もメールを送るな」とマーケティング部門に文句を言いますし、マーケティング部門も誰にも自分たちの仕事を理解されず、法務や営業、広報からも嫌われるようになっていじけてしまう。

 これは非常に痛ましい状態だと思います。なぜなら、せっかく作ったマーケティング部門が役に立たないということは、もう世界で勝負はできないし、国内市場でも外資系企業に太刀打ちできない状態ですから。そして一周回って経営者が「中長期でマーケティングを強化しよう」と言っても、誰もその“マーケティング”とは何を指しているのか理解できていない状態なのです。

「知識」と「経験」の両軸でマーケティング偏差値を上げる

——自社のマーケティング力を上げるには、まず現在の状態を知ることから始まると思いますが、そもそもマーケティングの“偏差値”は測れるのでしょうか。

庭山:偏差値というワードは刺激が強いのですが、私が言わんとするところは伝わると思います。シンフォニーマーケティングではマーケティング偏差値のアセスメントサービスを提供しているのですが、学校の偏差値と同じやり方で出しています。会社の中での偏差も出せれば業界の偏差も出せるし、たとえば東証プライムの従業員1,000人以上の企業比較をして、「あなたの会社はこの位置にいます」と言うこともできます。

 このアセスメントサービスの目的は、企業の中でしっかりとしたマーケティングができる人を育てることにあります。そのためアセスメントでは「知識」と「経験」の両方を問います。たとえば「STP(segmentation・targeting・positioning)を知っているか」と聞くと、ほとんどの人は「はい」と答えます。そこで次に、「STPを使って製品やサービス市場をセグメントしたことがあるか」と聞くと、大半が「いいえ」となってしまう。知識として知っていても、使ったことがなければ使えないということです。STPは特にそうで、日本企業でしっかりSTPを行っている企業はほとんどありません。こうして偏差値を出していきます。

——偏差値を上げていくためには、「知識」だけでなく、「経験値」を上げていく必要があるのですね。

庭山:そのとおりです。偏差値アセスメントで自社に足りていない ところが明確化できれば、あとはそれを補っていくだけです。当社でも、アセスメントの後には研修プログラムを準備しています。ベーシックプログラムが3本あり、終了後にもう一度アセスメントを受けてもらうと偏差値は一気に上がります。そして、得た知識と経験を基に、実際に会社の売上に貢献していく。こうした好循環が生まれることを期待しています。

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日本企業のマーケティング偏差値向上を阻む、2つの障壁

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/26 08:30 https://markezine.jp/article/detail/40049

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