「絶対売れる」と確信したみかんジュースと鯛めし
MZ:南海放送ではアイレップの協力を得ながら、ライブコマースをどのように実施したのでしょうか?
二宮(南海放送):「エモーショナルEC」をコンセプトに、地元の商品を紹介するライブコマースを実施しました。アイレップさんにディレクションをお願いする前にライブコマースを実施したのですが、知見が乏しく「この視聴者数は多いの?少ないの?」という状態でした。
二宮(南海放送):2回目はアイレップさんにライブコマースのコンサルタント的な立ち位置で参加いただき、商品選定のポイントや、地域外の人から見た愛媛の産品の評価などを教えてもらいました。選定した商品は「みかんジュース」と「宇和島の鯛めし」の2品。みかんジュースは送料込みで6本入り9,000円ほどです。
みかんジュースにしては高いと感じられる価格かもしれませんが、その中身は厳選された温州みかんのほか、愛媛が全国に誇る高級柑橘を絞った100%ストレートジュース。普段自らみかんを買うことが少ない愛媛の人でさえ、お金を出して買うようなみかんを使ったジュースなんです。さらに、配信の直前に愛媛県が主催した「みかんジュースコンクール」で入賞したみかんジュースのみを集めた、このライブコマースのための特別セットをご用意しました。もう1つの宇和島の鯛めしは漁師飯。宇和島の漁師が釣った鯛を自分でさばき、卵、醤油、だし汁を混ぜたタレにつけてご飯に載せて食べる料理です。
恩地(アイレップ):ライブコマースで商品を紹介するにあたり、その商品が「語れる商材かどうか」が大切だと私たちは考えています。商品の背景にあるストーリーや、配信者の商品に対する熱量を伝えることができるかどうか。二宮さんへのヒアリングでみかんジュースと鯛めしのストーリーや、商品に対する熱い思いを聞いた時は「絶対売れる」と確信しましたし「その思いをそのままライブコマースで届けましょう!」とお伝えしました。
視聴人数は4割増、同時接続者数は3倍に
二宮(南海放送):撮影時は恩地さんのアドバイス通り、双方向性を意識しました。アンケートやチャットが書き込まれたら真っ先に紹介したり、決済するための時間を設けたりするなど、番組の構成にもアドバイスを落とし込んでいます。
恩地(アイレップ):事前のコンサルティングだけでなく、現場でも「どのコメントをどういう風に取り上げれば良いか」といった細かいところまで伴走させていただきました。
MZ:ライブコマースの具体的な成果を教えていただけますか?
二宮(南海放送):アイレップさんに協力してもらって、配信中のシェア機能を活用したこともあり、ライブ配信の延べ視聴人数と視聴回数が4割増しになりました。下降気味だった視聴時間やエンゲージメントもぐっと上がりましたね。「アンケート回答者にプレゼントを差し上げます」というキャンペーンを仕掛けたところ、同時接続者数は3倍になりました。「愛媛に行ってみたくなった」「宇和島鯛めしのことを初めて知った」など、視聴者からの反応も好意的ものばかりでした。課題は、商品をカートに入れてから実際の支払いに至る途中で離脱してしまう方が多かったことです。
恩地(アイレップ):カートインする方が多くいらっしゃることはわかったので、あとは離脱に至る原因を改善していけば良いと考えています。課題ではありますが、見方を変えれば「ポテンシャルが高い」と言えるのではないでしょうか。
二宮(南海放送):離脱の原因にはITリテラシーが関係しているかもしれませんね。最近は若者のテレビ離れが進み、テレビ視聴者の高齢化が進んでいるといわれています。オンライン決済に慣れていない方も多いでしょう。テレビ番組とライブコマースで作り方を変える必要性を改めて感じました。